ハンドボール日本代表紹介 #20 秋山なつみ(北國銀行)

秋山なつみ

#20 秋山なつみ(北國銀行)

・おりひめの忠犬ハチ公
 コートネームは「ハチ」。普通は大学、社会人と進むにつれて、コートネームも変わっていくのだが、秋山の場合は「ハチっぽいから」との理由で、洛北高時代から今まで変わらず「ハチ」と呼ばれている。色白で親しみやすいルックス。鍛え抜かれたハムストリングス。真面目に取り組む姿勢。チームへの忠誠心に人懐っこさなど、忠犬ハチ公を想起させる要素は多い。速攻では誰よりも早く飛び出し、ゴールまでボールを運んでくれる。

 性格はいたって真面目。環境になじむまで少し時間がかかるが、慣れてくるにしたがって良さが出てくる。右サイド(RW)と右バック(RB)の両方がこなせて、シュート技術も確か。特に右サイドでは左利きの利点を生かして、遠めのシュートでGKを動かす。昨年のアジア選手権では、#21池原綾香、#7藤田明日香の不調をカバーし、期待以上の活躍を見せてくれた。いい攻撃をすると必ず右サイドが余るので、右側の3人の精度は大事。

 世界選手権は初舞台だが、海外の大型GKへの免疫はついているはず。落ち着いて自分の持っているものを出せば、大会にもスムーズに入っていけるだろう。そういう意味では初戦のアルゼンチン戦が重要になってくる。やればできる子。いつもの通りにやれば、世界でも十分に戦える。慣れてくれば、持ち前の人懐っこさも見られるだろう。自国開催のアドバンテージを最大限に生かして、いい意味で「いつもの秋山なつみ」でコートに立ってくれたら、結果は後からついてくる。北國
銀行で途中から試合に入る経験を積んできた
ので、先発でも途中出場でも力を発揮してく
れそう。最近はクロスアタックを積極的に仕
掛けるなど、守備への意識も高まっている。

 7月23日生まれで、名前は「なつみ」。非常に覚えやすい。

久保弘毅

JOC全国大会出店のお知らせ

こんにちは!melis japan代官山店スタッフの島崎です。 

今回は最新の出張出店情報をお伝えしたいと思います。

第28回JOCジュニアオリンピックカップハンドボール大会に以下の日程で出店させていただくことになりました!

日時:12月22日~26日
場所:サイデン化学アリーナ出店コーナー

さらにここでしか買えないSPECIALな商品を販売します!詳細については今後このブログで随時更新していきたいと思いますのでチェック宜しくお願いします。

ハンドボール日本代表紹介 #16 宮川裕美(オムロン)

宮川裕美
宮川裕美

#16 宮川裕美(オムロン)

・木綿のハンカチーフ
東北で生まれ育った、見るからに純朴なGK。人呼んで「木綿のハンカチーフ」。名づけ親は、J SPORTSで解説を務める銘苅淳(北陸電力)。太田裕美の名曲に出てきそうな、都会の色に染まらない雰囲気が、宮川の持ち味である。GKは「変わり者が多いポジション」と言われるが、おそらく「突き抜けていい人」タイプなのかもしれない。同じ系統には飛田季実子(ソニーセミコンダクタ マニュファクチャリング)、高森妙子(イズミメイプルレッズGKコーチ)、田口舞(ザ・テラスホテルズ)らがいる。

ゆっくりと時間をかけて、日本代表になった。オムロンはこういった「高卒の大器」を育てるのが上手い。6年間ぐらい下積みをしながら、藤間かおり(元オムロン、元日本代表)の我慢強いキーピングを見て学んだ。2017年の日本選手権決勝では、途中まで調子が上がらなかったが、終盤に好セーブ連発で勝負の節目を押さえた。当たらない日でも、大事なところだけかっさらっていくのは、オムロンの背番号1の仕事。勝田祥子GKコーチ、藤間がそうだったし、宮川もそういうGKになってきた。

レジェンドの飛田とGK最後の一枠を争い、世界選手権のメンバーに滑り込んだ。出番は限られるだろうが、出たからには何か爪痕を残してほしい。オムロンでは「宮川が顔面でセーブすると勝つ」ジンクスがある。どっしりと腰を据えて、早動きしないで、最後までボールを見ている証拠とも言える。顔や目のケガには充分気をつけながらも、ここ一番でボールを恐れぬキーピングを。宮川の勇気が、熊本を盛り上げる。

久保弘毅

ハンドボール日本代表紹介 #15 多田仁美(三重バイオレットアイリス)

多田仁美
多田仁美

#15 多田仁美(三重バイオレットアイリス)

・ゴリゴリシスターズ!
 丈夫な体を持ち、馬車馬のように間を突破する。鍛え抜かれた太腿はパワーの証。ゴリゴリと間を割って、相手を弾き飛ばす。身体作りの意識の高い女子選手のユニット「ゴリゴリシスターズ」の長女は、自身のプレーと取り組みで、フィジカルの重要性を訴えかける。

 バックプレーヤー3ポジションどこでもプレーできるが、一番味が出るのは右バック(RB)に入った時。左利きの#4角南唯は教科書どおり、サイドラインに近いところに位置を取る。ワイドポジションでDFを広げ、ゴールに向かって一直線に間を割れるからだ。しかし右利きの多田は、センター(CB)にかなり近い位置を取る。カットインがゴールから遠ざかる形になるが、これはミケル・ハンセン(男子デンマーク代表)が右バックに入った時と同じ位置取り。利き手側のスペースが使えて、次の選択肢が増える。多田が「お兄ちゃん」と慕う、ゴリゴリボーイズの門山哲也(トヨタ車体)も、プレーオフで同じ位置取りをしていた。ハンセンや門山は理論的に位置取りを研究したが、多田は「野性の勘」で世界最先端のポジショニングを先取りしていた。

 肉弾戦を好む割にはDFが得意ではなく、右利きの右バックだと使いどころが限られてしまう。それでも短時間で流れを変えられるインパクトがある。印象的な活躍は、2年前の世界選手権決勝トーナメント1回戦のオランダ戦。予選リーグで絶不調だった多田を、ウルリック・キルケリー監督はオランダとの接戦の後半に投入した。すると多田の不思議な位置取りに惑わされたか、オランダのDFが混乱し、多田の2得点で延長戦となった。多田を起用したキルケリー監督の直感も凄かったし、結果を残した多田も見事だった。今回もインパクトプレーヤーとして、理屈を超越した活躍に期待。

久保弘毅

ハンドボール日本代表紹介 #18 田邉夕貴(北國銀行)

田邉夕貴
田邉夕貴

#18 田邉夕貴(北國銀行)

・語学堪能のトレーニングマニア
 ヒザのケガのリハビリ期間中に、トレーニングに目覚めた。体幹を鍛えるメニューやボールを使ったコーディネーショントレーニングなどをTwitterで発信。競技の垣根を超えた人気者になった。@Yuki24365950 もしくは #beeトレ で検索すれば、ハンドボールだけに限らず、他競技にも役立つメニューがたくさん出てくる。

 トレーニング以外にも語学ができるので、ウルリック・キルケリー監督が就任した2016年以降はパイプ役としても重宝されている。ハンガリーでのプレー経験があるから、英語の聞き取りはそれなりにできる。監督の英語での指示を噛み砕いて、周りに伝える。キルケリー監督体制で3年やってきて、選手全員の語学力が上がった。世界と戦ううえで、これは目に見えない大きな財産。キルケリー監督の用語集を作った藤田愛通訳の努力もあるが、田邉をはじめとする選手たちの意欲も素晴らしい。

 最大の武器は、2枚目を守れるDF力。大型サイド(LW)が左の2枚目を守ってくれるから、小柄なセンター(CB)を左の1枚目に置ける。速攻での展開力を重視するキルケリー監督の布陣では、田邉のような存在は欠かせない。田邉がいることで、攻守のバランスが整う。日本では点取り屋が過大評価されがちだが、こういう「攻守に穴のない存在」は、ハンドボールではとても大事。

 昨年のアジア選手権では、左サイドでの決定率が高かった。特に予選ラウンド最大のヤマと言われたカザフスタン戦では9/11の大活躍。GKの両手の間を打ち抜く「遠めの上」の精度が抜群に良かった。世界選手権でもこれに近い数字を残してくれたら、ヨーロッパの強豪相手にも勝てる。何度も言うが、おりひめジャパンの生命線は両サイドの決定率。ウイングの精度にかかっている。

久保弘毅