ハンドボール日本代表紹介 #7 藤田明日香(ドイツ・ドルトムント)

藤田明日香
藤田明日香

#7 藤田明日香(ドイツ・ドルトムント)

・右サイドを駆け抜けるバンビ
 海外で腕を磨く左利き。走る姿に躍動感があり、ポニーテールが風になびく。バンビのような愛らしいルックスで、隠れた人気者。ドイツでのプロ経験でたくましさを増している。たとえばアパートの電球が切れた時に、チームのスタッフやエージェントに相談するより前に、自分で電球を買いに行って、取りつける。当たり前のことだけど、海外で言葉も通じない状況だとちょっと面倒なことを、自分でできるようになったという。こういう積み重ねが、人を強くしていく。

 選手としても、大型のGKに対する免疫を、この2年ほどでつけてきた。ただ、日本代表では結果を残せていない。1年前のアジア選手権では調子が上がらず、大会途中でベンチアウトになった。今年6月の日韓戦でも1/3と冴えなかった。右サイド(RW)は#20秋山なつみがいて、ケガから復帰した#21池原綾香もいるが、藤田も含めた3人のうち、誰か1人は当たっていないと苦しい。7人攻撃を含めて、右サイドが余る状況が多くなるので、最低でも2/3ぐらいの確率で決めてもらわないと、欧州勢を相手に勝機を見いだせない。ギリギリで復帰した池原は状態を見ての起用になるだろうから、大会序盤は藤田と秋山のシュート率がカギを握りそう。

 期待することは、とにかくサイドシュートを決めること。得意の速攻で波に乗れたら、セットOFでも落ち着いて決められるはず。以前はDFに難ありのイメージだったが、ドイツでもまれて強くなっていることを期待したい。できることの幅は広くはないが、右のサイドライン際を駆け抜ける姿は間違いなく絵になる。フィニッシャーの役割をまっとうして、日本代表に勢いをもたらしてほしい。

久保弘毅