「三重バイオレットアイリス」カテゴリーアーカイブ

ハンドボール日本代表紹介 #15 多田仁美(三重バイオレットアイリス)

多田仁美
多田仁美

#15 多田仁美(三重バイオレットアイリス)

・ゴリゴリシスターズ!
 丈夫な体を持ち、馬車馬のように間を突破する。鍛え抜かれた太腿はパワーの証。ゴリゴリと間を割って、相手を弾き飛ばす。身体作りの意識の高い女子選手のユニット「ゴリゴリシスターズ」の長女は、自身のプレーと取り組みで、フィジカルの重要性を訴えかける。

 バックプレーヤー3ポジションどこでもプレーできるが、一番味が出るのは右バック(RB)に入った時。左利きの#4角南唯は教科書どおり、サイドラインに近いところに位置を取る。ワイドポジションでDFを広げ、ゴールに向かって一直線に間を割れるからだ。しかし右利きの多田は、センター(CB)にかなり近い位置を取る。カットインがゴールから遠ざかる形になるが、これはミケル・ハンセン(男子デンマーク代表)が右バックに入った時と同じ位置取り。利き手側のスペースが使えて、次の選択肢が増える。多田が「お兄ちゃん」と慕う、ゴリゴリボーイズの門山哲也(トヨタ車体)も、プレーオフで同じ位置取りをしていた。ハンセンや門山は理論的に位置取りを研究したが、多田は「野性の勘」で世界最先端のポジショニングを先取りしていた。

 肉弾戦を好む割にはDFが得意ではなく、右利きの右バックだと使いどころが限られてしまう。それでも短時間で流れを変えられるインパクトがある。印象的な活躍は、2年前の世界選手権決勝トーナメント1回戦のオランダ戦。予選リーグで絶不調だった多田を、ウルリック・キルケリー監督はオランダとの接戦の後半に投入した。すると多田の不思議な位置取りに惑わされたか、オランダのDFが混乱し、多田の2得点で延長戦となった。多田を起用したキルケリー監督の直感も凄かったし、結果を残した多田も見事だった。今回もインパクトプレーヤーとして、理屈を超越した活躍に期待。

久保弘毅

チームの見どころ 【三重バイオレットアイリス】昨年度女子4位

チームの見どころ

【三重バイオレットアイリス】昨年度女子4位

【チームの戦い】
 昨シーズンはリーグ加盟11年目で初のプレーオフ進出を果たした。これまで顔ぶれが決まっていた女子の四強に食い込んだ功績はとてつもなく大きい。櫛田監督がチームの青写真をしっかりと描き、梶原ビジネスマネージャーが地域とのつながりを作り、高井プロモーションマネージャーが写真と動画でチームの魅力を伝える――この3つの柱が機能したことで、三重の選手の意識が飛躍的に高まり、リーグ屈指の人気チームになった。「クラブチームのあり方」を追求する三重の存在は、企業チームにとってもお手本になる部分は多い。

【予想布陣】
LW:河嶋(近藤)
LB:原(多田、中田)
CB:加藤(林)
RB:多田(万谷、森本)
RW:島居(佐野)
PV:近藤(原、森本)
GK:高木(花村)

6:0DFと5:1DF

 原と万谷が真ん中を守り、GKの花村との3人で試合を落ち着かせて、途中から爆発力のあるGK高木(旧姓山根)を投入して一気に突き放す。昨シーズンはこのフォーマットが上手く機能した。大当たりはないが、いつもほどほどに当たる花村と、局地的な爆発力のある高木の使い分けが、60分トータルで試合を作るギアチェンジの役割を果たした。今年は精神的な成長が見られる新婚の高木を先発GKに据えて、スタートダッシュを狙う。
 課題は右サイドとポスト。特にポストは絶対的な選手がいないので、原の強さ、近藤の動き、左腕・森本の意外性を使い分けながら、バックプレーヤーを4人配置するような戦い方になるだろう。

【人事往来】
IN
林(桐蔭横浜大)
中田(福岡大)
島居(武庫川女子大)
水谷(茨城大)
OUT
伊藤(練習生に)
角南(ソニーへ移籍)
池原(デンマークに移籍)

 チームで一番のフィニッシャーだった池原、攻撃を組み立てるポイントになっていた角南、この2人が抜けたのは痛い。代表クラスの右サイドとポストの穴をどうやって埋めるかが、新しいシーズンの課題になる。
 櫛田監督が「4人とも大当たり」と言う新人は、早い段階で戦力になっている。林は桐蔭横浜大を初のインカレ3位に導いたゲームメイカー。ポストとの2対2だけでなく、スペースを作る動きが上手い。中田はDF力とリーダーシップがあり、真ん中だけでなくトップDFでも使える。島居は高低を使い分けるサイドシュートが魅力で、何年もチームにいるような落ち着きがある。水谷はケガで出遅れたが、肉体派の左利きで期待は大きい。

【指揮官】
櫛田亮介監督
 日本の女子球界を変えるであろう指導者。ドイツでプレーした経験に、大ケガを乗り越えて北陸電力で社外選手としてプレーを続けた経験など、自分自身をマネジメントしてきた蓄積が、今のチーム運営に生きている。まっとうなビジネス感覚を持ち、目の前の結果に振り回されず、やるべきことを積み重ねていける監督。理不尽さのないベンチワークも、見ていて気持ちいい。

【キープレーヤー】
森本方乃香

森本方乃香
森本方乃香

 ゴリゴリカットインを得意とする肉体派ユニット「ゴリゴリシスターズ(通称GGS)」の一員。2年目の今年はポスト挑戦を志願して、5月の社会人選手権ではスペースに走り込むなど、気の利いたプレーでチームを盛り上げた。ポストの動きを勉強することで、本来のバックプレーヤーでの動きもよくなってきたとのこと。攻撃の「表と裏」が見えてきたサウスポーのこれからが楽しみ。多田仁美とのGGSでの活動にも期待。

【この技を見よ!】
・原希美の笑顔

原希美
原希美

 チームでも日本代表でもキャプテンの頑張り屋さん。苦しい時でも歯を食いしばって、勝利のために体を張れるのが、原の最大の長所である反面、1人で頑張りすぎるところもあった。ところがここ1年くらいで、いい意味で肩の力が抜けてきた。すべてを自分だけで背負い込むのではなく、仲間の力を借りながら、試合の節目でいい仕事をするようになった。コート上での笑顔が増え、肩の力が抜けたことで、プレーの幅も広がった。1試合に15本ぐらいシュートを打っていた「私が引っ張る」時代よりも、「仲間と頑張る意味」を理解した今の原の方が、チームにより多くのプラスをもたらしている。苦しい場面でも「私の顔を見て」と言えるリーダーがいるチームは強い。

ハンドボール選手紹介-43 日本女子代表#33角南果帆(三重バイオレットアイリス)

#33角南果帆(三重バイオレットアイリス)
洛北高―大阪体育大 23歳 166cm59kg 右利き ポスト

■どんな選手?/ハンドボールIQの高い角南一族のひとり。1つ上の姉・角南唯(北國銀行)はカットインに優れた左腕シューターだが、果帆は黒子役のポストプレーヤー。飛び抜けた武器はないものの、バックプレーヤーと息を合わせて2対2を攻略する。7月のヒロシマ国際では大山真奈(北國銀行)とのコンビで攻撃の核になり、三重では河嶋英里とチャンスを作り出すなど、大阪体育大出身者との合わせに定評がある。

■観賞ポイント/味方の力を引き出す動き。縦の2対2の理屈をわかっているから、合わせの時間が少なくても攻撃を組み立てられる。■活躍の場/無形の力を持ったポストは、ウルリック監督のハンドボール観と響き合えるだろう。

久保弘毅

角南果帆
角南果帆

ハンドボール選手紹介-41 日本女子代表#31多田仁美(三重バイオレットアイリス)

多田仁美
多田仁美

#31多田仁美(三重バイオレットアイリス)
駿台甲府高―日本体育大 24歳 166cm69kg 右利き 左バック・右バック

■どんな選手?/攻撃に特化した肉体派。基本の1対1の能力が高く、フィジカルを活かしたゴリゴリのカットインで得点を量産する。たまにオーバーステップが多くなるのは御愛嬌。へこたれることなく前を狙い続けるプレースタイルで、三重の櫛田亮介監督からは「馬車」と呼ばれている。

■観賞ポイント/右バックでのアウト割り。インにもアウトにも行けるが、この位置からのアウトフェイントが最もスムーズかつ力強い。

■活躍の場/学生時代から「守りができない」扱いを受けてきたが、あの強靭なフィジカルで守れないはずがない。強い体でバチッと当たって、片腕一本で外国人を持ち上げる姿を見てみたい。新監督に偏見なしで見てもらえる今がチャンス。
久保弘毅

三重バイオレットアイリス所属 加藤 夕貴選手着用シューズ

三重バイオレットアイリス所属 加藤 夕貴選手着用シューズ

アシックス ゲルファストボール ホワイトディーヴァブルー2014
http://neckar.jp/fs/melis/ASE464Y-0193

◾加藤 夕貴選手 プロフィール
http://www.mie-visc.jp/player_05.html

 

加藤 夕貴 選手
加藤 夕貴 選手