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この選手が凄い! その2 吉野樹(トヨタ車体)

この選手が凄い! その2

吉野樹
吉野樹

吉野樹(トヨタ車体)

【腕の振りが独特】
ヒジを真っすぐ伸ばした、ちょっと古典的な腕の振り。昔ながらの「ヒジを伸ばして、相手から遠い位置でボールを保持する」ような投げ方をする。野球の言葉で言えば「アーム式」の投げ方。吉野自身は「『バッティングセンター』って言われるんですよね」とぼやく。
しかし、吉野の動きをよく見てほしい。一見ヒジが伸びたまま投げているようだけど、肩甲骨を柔らかく使えているから、いいシュートが打てる。トヨタ車体の山本充伺トレーナーは「吉野の肩甲骨の使い方は、野球やハンドボール等、すべての投げる競技の人のお手本になる」と絶賛している。「アームだからダメ」ではなく、これが吉野にとって「快適に腕が振れる方法」。なかなか真似ができないオリジナルの技である。

【コントロールがいい】
 大きめのテークバックから、GKをよく見て、コースに打ち分ける。野球のたとえが続いて恐縮だが、同じ様な投げ方で思い出されるのが、長年中日のリリーフ陣を支えてきた岩瀬仁紀。岩瀬も一見アーム式の投げ方だが、スライダーをきっちりとコントロールできたから、40歳を過ぎてもなお現役で活躍できている。ハンドボールで言えば、元日本代表女子の早船愛子(元三重ほか)も同じ様なタイプ。左腕が伸びたまま回しているようで、肩甲骨が柔らかく、コースへきちんと打ち分けられていた。
 腕を伸ばしたまま振り回すタイプは、腕の重さを球威に替えられるメリットがあるが、コントロールにばらつきが出やすい。でも吉野は繊細なコントロール技術を持っている。これは間違いなく才能。あとは身体を倒してプロンジョン気味に壁をかわしたり、アンダーハンドでも打てるようになれば、ちょっと手がつけられない。

【チームを背負える】
 入社1年目からトヨタ車体のエースになり、チームの勝敗を背負って打ち続けた。大事な試合でも物怖じすることなく打ち続けた勝負度胸は、称賛に値する。2年目の今年は日本代表にも選ばれ、攻撃で流れを変える役割が期待されている。
本人も認めるように、代表ではまだ当落線上。左の1枚目DFでチームのプラスになれるくらいの守備力がつけば、おのずと出番も増えてくるだろう。攻守のバランスを重視するダグル・シグルドソン監督に「使いたい」と思わせるくらいのトータルバランスを身につけたいところ。トヨタ車体の門山哲也、渡部仁のように、いずれは攻守にチームを背負える男に育ってくれたら。

久保弘毅

この選手が凄い! その1 徳田新之介(ダバシュ・ハンガリー)

この選手が凄い! その1

徳田新之介
徳田新之介
(ダバシュ・ハンガリー)

徳田新之介
徳田新之介

【国際試合に強い】
 学生時代から国際試合に強い選手だった。国内でも活躍するが、海外の10cm、10kg以上大きな相手でも、プレーの質が落ちない。むしろ大きな相手とやる時の方が生き生きしている。日本の選手が不慣れな大型GKへの対応も、十分に心得ている。
筑波大学を卒業後は日本リーグを経ずに、ハンガリーへ渡った。進路を決めるにあたっても「もっと強くなるために、今すぐ海外に行かなきゃ」と、迷いはなかった。選手には伸びるタイミングがある。日本の選手はその時期を逃しがちだが、徳田は旬なタイミングで海外挑戦を選択した。ハンガリーリーグ1部のダバシュで1年間プレーし、次のシーズンの契約を勝ち取っている。

【タイミングを外すシュート】
 身長は179cm。日本人のバックプレーヤーの中でも小柄な部類になる。それでも日本代表でファーストオプションになりうる得点能力を有する。タイミングを外して1歩で打つステップシュートはバリエーションが豊富。わずかな隙を逃さずに打ってくる。7mスローも含めて、大きなGKが相手でも、あっさり決め切る技術と度胸がある。ここ2年ほどでポストパスも上達し、クロスからポストに落とすなど、プレーの幅がさらに広がった。

【1対1で相手を寄せる】
 国際試合で頼りになるのは、ベースにある1対1の強さがあるから。岩国工業伝統の「蛇行(いわゆるオフ ザ ボールの動き)」から始まって、インにアウトに強烈に切り返す。大きい選手をスピードで振り切る「逆ミスマッチ」を作れるのが強み。日本代表でも「徳田が1対1を仕掛けたら、必ずDFを寄せてくれる」と信頼されている。自分が切れ込むだけでなく、周りに広いスペースを作ってあげられるから、セットOFでは欠かせない。 
今後は自分の「寄せる力」を利用して、攻撃全体をクリエイトする能力が求められる。「自分が点を取る時間帯」と「周りに点を取ってもらう時間帯」を60分間で使い分けられるようになれば、日本代表の得点力が上がるはず。1試合で10点を取るのがエースではなく、チームの得点を増やすのが真のエース。そういう感覚を持っている選手なので、今後はさらに「勝利のシナリオを描けるエース」に育ってほしい。

徳田新之介選手は今シーズンのmelis
契約選手です。

久保弘毅

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チームの見どころ  【プレステージ・インターナショナル アランマーレ】

【チームの戦い】
 ハンドボールどころ富山に新しくできた実業団チーム。氷見と高岡向陵という2強のある県なので、大学を出た有力選手が戻ってくる場所になれば、2年目以降の伸びが期待できる。現時点では、若くてちょっと足りない選手の集合体。経験でカバーできる部分と、経験だけでは何ともならない部分を見極めて、来年度以降の成長につなげたい。
富山でのホームゲームは、バスケットボールのBリーグのような演出で、プレー中も絶えずBGMが流れる。音と手拍子に合わせてプレーするので、アップテンポな展開の方がマッチしそう。

【予想布陣】
LW:牛山(鈴木、水野)
LB:望月(唐木澤)
CB:横嶋遙(菊池、牛山)
RB:園田
RW:佐藤(兒玉)
PV:鎌倉(横嶋遙)
GK:安田(石田)
DF:山本

主に6:0DF

 チームの要だった横嶋かおるが、年明け早々に引退。彼女がいたから、ここまで試合になっていたのだが、残されたメンバーだけでは少々厳しい。しかもエース望月が故障すると、園田への負担が大きくなる。片手キャッチが巧みなリーグ経験者・鎌倉へのポストパスを上手に利用したいところ。
 DFは失点が多いものの、OFのミスからの速攻が多いだけで、守れていない訳ではない。ハードワークを徹底しているので、好感が持てる。小柄なGK安田がハイコーナーに届かないところは、石田のサイズで補うだけでなく、プレスDFでカバーしてもいいのでは。

【人事往来】
IN
望月(国士舘大)
安田(日本体育大)
菊池(不来方高)
鈴木(東海大)
佐藤(東海大)

OUT
横嶋か

 サイズはちょっと足りないが、大学で終わるにはもったいない選手たちが加入。1年目からレギュラーの座をつかんで活躍した。望月は荒削りだが、カットインのキレ味に可能性あり。安田はリーグ最小のGKでも、ゴールを死守する心意気がいい。鈴木、佐藤の両翼は、DFでも頑張る。

【指揮官】
大森聡監督
 高岡向陵高を長年率いた、高校球界の名将。日本代表コーチで世界に触れて視野が広がり、実業団にチャレンジするきっかけになった。粘り強いDFと両サイドのスピード、ロングシューターの育成が得意分野なのだが、肝心の長距離砲がチームにいないため、大森監督の色を出せずに苦戦している。ロングシューターを大きく育てることができる指導者なので、サイズのある大砲を獲れれば、チームも大きく変わるだろう。

【キープレーヤー】
安田絢恵

安田絢恵
安田絢恵

 下位チームのGKはノーマークシュートにさらされる。ノーガードでやられる場面が多いから、技術以上に精神力が重要になってくる。打たれても、打たれても、なお向かっていける気持ちがないと、長いシーズンを乗り切れない。
リーグ加盟1年目で最下位に沈むアランマーレだが、新人GKの安田がいたから、ここまで戦えたと言っていいだろう。どんな時にもへこたれず、強い気持ちで立ち向かい、味方に声をかけ続ける。大森監督が「君の人間性が欲しい」と言って獲得したのも納得である。「せっかく憧れの日本リーグに入れたのだから、へこたれてる場合じゃない」と言えるあたりは、並の新人とは違う。リーグ最小の162cmでも、ハートの強さは一級品。これからも仲間を救う強気を発揮してくれるに違いない。
 
【この技を見よ!】
鎌倉絵美子の片手キャッチ

鎌倉絵美子
鎌倉絵美子

横嶋かおるが引退したので、チーム唯一の日本リーグ経験者になってしまった。当初はDFの要として期待されていたが、ちょっぴり押しの弱い性格もあってか、DFリーダーと呼ぶには物足りなかった。むしろ年明けからポストに入ることで、鎌倉らしさが出るようになってきた。
必殺技は片手キャッチ。ライン際に位置を取り、空中へのパスを片手でつかみ取る。センターの横嶋遙、右バックの園田麻乃との「縦の2対2」は貴重な得点源。「色んなところで2対2をしたい」と、意欲を見せている。ライン際だけでなく、中継からのミドルシュートという選択肢も面白い。鎌倉の得点が伸びれば、アランマーレの勝ち星は増える。

久保弘毅

チームの見どころ 【北陸電力】昨年度男子9位

チームの見どころ

【北陸電力】昨年度男子9位

【チームの戦い】
 最下位の常連チームだったが、2018年の福井国体へ向けて、若くて有望な選手を補強。5月の社会人選手権では初戦で湧永製薬に勝ち、日本リーグでも4シーズンぶりの勝ち星をトヨタ車体からあげるなど、地道な強化が実を結びつつある。苦難の時期を乗り越え、ようやくいいチームになってきたので、地元国体が最終目標ではなく、国体以降も強化を続けて、上位に食い込めるチームを目指してほしい。

【予想布陣】
LW:久保(成田)
LB:川島(須坂、竹内)
CB:銘苅(竹内、池上)
RB:藤坂(宮田、須坂)
RW:松島(高森)
PV:中山(新谷、大橋、小川)
GK:岩永(矢作)

3:2:1DFと6:0DF

 各ポジションに特色の違う選手が揃い、不動の7人が匠の技を見せていた以前からは想像もつかないほど、選手層が厚くなった。本来ならキャプテンの須坂がエースでDFの要になってほしいが、コンディションが上がらずDF専門になっている。それでも須坂の穴を感じさせないくらい、バックプレーヤーの頭数が増えた。あとは時間の配分と、攻守のバランスが問題か。
 藤坂がトップの3:2:1DFと、6:0DFを使い分ける。トップDFで最高の動きを見せる藤坂が、6:0DFの2枚目に入ると持ち味が消えていたため、シーズン途中から藤坂を3枚目にコンバート。経験のある銘苅と須坂ではさんで、藤坂を自由に動かすシステムが機能しつつある。6:0DFから3:2:1DFへの変化もしやすい配置なので、北電の新たな強みにもなりそう。

【人事往来】
IN
手塚(北陸高)
矢作(日本体育大)
大橋(日本体育大)
久郷(名古屋文理大)
竹内(アイスランド)
川島(早稲田大)
銘苅(スペイン)
OUT
切越

横川

 大量補強の目玉は、地元出身の川島。1年目から絶対的なエースになった。手塚は藤坂とともに、親子二代で北陸電力の一員。2人とも父親と同じ番号を背負う。竹内、銘苅とヨーロッパ帰りの2人が、攻守に強さをもたらし、選手層はかなり分厚くなった。
 逆立ちや側転セーブなどで人気者だったGK辻(旧姓川添)と、スピードのある1対1が持ち味だった切越は、惜しまれながら引退。2人ともまだ20代後半だったが、チームはさらに若返っている。

【指揮官】
前田亮介監督
 現役時代はセンター。監督になってからは戦術をよく落とし込んで、若いチームを立て直している。ターゲットを絞って、一発勝負に勝つのが上手。昨年5月の社会人選手権で湧永製薬に勝った時は、まさしくそういう試合だった。次なるターゲットは、今年の福井国体。その過程での日本リーグでも2勝するなど、地力はついてきた。銘苅、竹内と強い選手が増えたし、リーグトップクラスの筋トレの環境もあるので、もう少しフィジカルの強さを全面に押し出してもいいのでは?

【キープレーヤー】
川島悠太郎

川島悠太郎
川島悠太郎

 非常に思慮深い青年。その気になれば強豪にも入れる実力を持ちながら、将来の仕事などを考慮して、地元の北電を選んだ。試合前は人と群れずに、自分のための準備に専念する。試合になれば、間にはまって打ったり、DFの陰を利用するなど、説明のつくシュートを打つ。1年目から黙々と点を取り、背中で引っ張る姿は、北電史上最高のエースだった神田友和(前監督)を思わせる。
 いい意味で体育臭くなく、たどってきた経歴からも人間的な深みを感じさせる。自分で考え、自分で選択して、自分の人生を形作っていけるであろう好青年。彼のような選手が増えれば、色んな意味で日本のハンドボールのレベルが上がるはずだ。

【この技を見よ!】
竹内功の強さ

竹内功
竹内功

 中部大インカレ優勝時のエースは、大学までは「当たるのが苦手だった」と言う。しかし卒業後にアイスランドでプレーしてから、知らないうちに当たりの強さを身につけて、日本に戻ったら守れる選手になっていた。センターができて、2枚目が守れる選手がいると、攻守のバランスが非常によくなる。銘苅と竹内、どちらがセンターで出ても、守りでもプラスになるのが心強い。
 HC名古屋のスクール出身で、姉はHC名古屋の竹内里奈。男子の試合が休みの時は地元に戻って、姉の試合をノリノリで応援する。お姉さん思いの、いい弟でもある。

久保弘毅

チームの見どころ 【大阪ラヴィッツ】今年度から新規加入

チームの見どころ

【大阪ラヴィッツ】今年度から新規加入
http://lovvits.jp/

【チームの戦い】
 ハンドボールどころ大阪に誕生した待望のクラブチーム。午前中に練習して、午後から勤務という、他とは異なる練習環境で日本リーグに挑戦している。リーグ加盟1年目とはいえ、田中、儀間らソニーのベテラン組に、元オムロンで日本代表のエースだった藤井がいるので、チームの形はしっかりしている。ツイッターでの情報発信の面白さはリーグ随一。

【予想布陣】
LW:田中(中久保、松澤)
LB:古川(田中)
CB:儀間(田中)
RB:藤井(永塚、水田)
RW:松澤(永塚、森)
PV:中久保(川﨑、田中)
GK:泉(齋藤)

6:0DF

 母校の大阪宣真高に戻って教員をしていた藤井が、リーグ戦途中から現役復帰。日本歴代最高の左腕が加わったことで、ロングシューター不在の問題が解決した。チーム事情で右バックをやっていた永塚を、本来の右サイドに回せるようになったし、田中と儀間の「匠の技」だけでは限界があったので、藤井の加入は大きなプラス。あとは左バックの古川が安定して点を取ってくれれば、攻撃のバランスは整う。速攻のスピードは上位にも引けを取らないので、チーム全体でセットの得点力を上げていきたい。
 とはいえ、生きる伝説・田中がサイドやポストも兼ねるなど、選手層は決して厚くない。DFの要・川﨑は手術からの復帰待ち。学生時代に実績のある水田、森がケガから戻ってくれば、攻守に幅が広がるのだが。DFの真ん中で健闘する石田、両サイドで地味に働く松澤に続く若手が出てくるか。

【人事往来】
IN
古賀(関西大)
岩佐(東京女子体育大)
森(大阪体育大)
藤井(宣真高教員)
平田(四天王寺高)

OUT

 現時点では、力はやや落ちるけど、やる気のある新人を優先して獲得している。いずれは認知度を高めて、大阪の有望選手を獲れるようになれば、長期的なビジョンが立てやすくなる。
 地元の理解という意味では、宣真高のコーチをしていた藤井の現役復帰と、四天王寺高3年生の平田の途中加入は、素晴らしいできごと。「オール大阪」を作っていこうという気概が感じられる。
森は大体大ではケガもあって出番に恵まれなかったが、氷見高で鍛えられたクレバーな選手。ポスト、サイド、センターと、足りないところをそつなく埋める力があるので、ケガからの復帰が望まれる。

【指揮官】
中村博幸監督
 ラヴィッツ初代監督は、大阪協会の会長補佐。大阪人らしいユーモアを交えた語り口で、できたてのチームを育成している。午前中だけという限られた時間で、どうやってチームを強くしていくか。「できるまで、やれ!」ができない環境でのアプローチに注目。

【キープレーヤー】
儀間晴香

儀間晴香
儀間晴香

 とにかく巧い。ソニー時代は1対1のフェイントに特化した選手だったが、ラヴィッツに移籍してからは、ありとあらゆる引き出しを開けて点を取る選手に進化した。難しいプレーも難なくこなし、ソニー時代から師と仰ぐ田中美音子とのコンビネーションは阿吽の呼吸。かつての田中美音子&張素姫(元韓国代表、現富士大監督)の域に近づいてきた。 
とはいえ儀間の難しいプレーが増えるのは、チームの得点が伸び悩んでいる証拠でもある。藤井紫緒という日本最高峰のロングシューターが入ってきたので、藤井の力を借りて、もっと楽に点を取れるようになれば、チームの白星も増える。

【この技を見よ!】
藤井紫緒のロングシュート

藤井紫緒
藤井紫緒

日本女子史上最高のロングシューター。男前すぎる腕の振りは、今も衰えていない。右手を素早く引きつけることで、左腕のスイングを生み出すメカニズムは、野球のピッチャーと同じ。クロスからのロングは、わかっていても止められない。7mスローを打つ前に、ボールにキスする姿もかっこいい。(写真は日本代表時代のもの)

チームの見どころ 【飛騨高山ブラックブルズ岐阜】昨年度女子7位

チームの見どころ

【飛騨高山ブラックブルズ岐阜】昨年度女子7位

【チームの戦い】
 ぎふ清流国体のチーム(HC高山)からスタートし、日本リーグに加盟してからもDF重視のチーム作りで、毎年着実に成果を残してきた。しかし初のプレーオフ進出を目指した昨シーズンは、深刻な得点力不足に泣かされ、最下位に沈んだ。チームの柱だった廣田(旧姓柴田)、中村らが抜けた今シーズンは再建の年になりそう。「最高の国体チーム」から「末永く戦えるクラブチーム」へ、方向転換が求められる。

【予想布陣】
LW:比嘉桃
LB:金恩恵(友野)
CB:宮崎(松本、比嘉美)
RB:和田(岸本、日下石)
RW:山中(比嘉美)
PV:陣野(佐伯)
GK:田口(菊池)

6:0DFと5:1DF他

 かつては4:2DFや3:3DFなど他のチームにはない引き出しで、ロースコアの接戦に持ち込んでいた。DFの時間が長くなればなるほどブルズのペース。若返った今シーズンは、例年ほどのバリエーションが見られない。
 勝つとしたら、GKの田口が止めまくって、エースの金恩恵が10点近く取るしかないのが現状。宮崎のミラクルシュートや、大型左腕・岸本の2次速攻でのロングなどもあるが、過度の期待は禁物。現時点では10点台のロースコアの試合運びに徹するしかない。

【人事往来】
IN
佐伯(福岡大)
中島(東京女子体育大)
池之端(引退後、コーチから復帰)

OUT
廣田(引退)
中村(引退)
舩坂(引退)
田中(引退)
松本(引退)

 球回しの起点だった廣田、変則DFの切り札だった中村が抜けた。ブルズの象徴とも言うべき2人の穴は大きい。廣田の代わりは宮崎、中村の代わりは山中と、それぞれに後継者はいるものの、前任者と比べると少々物足りない。特に変則DFの切り札だった中村のような「1人で2人を守る」選手が、1人でも多く出てきてほしい。小さくても動けて勘のいい中村は「DFのブルズ」の象徴だった。
日本代表候補にも選ばれた大型サイド田中の引退は予想外。次代のブルズを背負える逸材だっただけに、わずか2年間で終わるのはもったいなかった。
 新人ではポストの佐伯の出番が多くなっている。フィジカルの強さがあるので、得点力のあるポストに育つ可能性を秘めている。
 リーグ中断期間の12月に、池之端コーチの現役復帰が発表された。攻守にチームを背負ってきた池之端の復帰が、低迷するブルズの起爆剤になるか。爆発的な得点力のあるタイプではないが、ポストと真ん中のDFで試合を落ち着かせてくれるだろう。

【指揮官】
山川由加監督
 元日本代表で、桜花学園高校で監督を務めたのちに、岐阜県の成年女子の監督に就任し、日本リーグに参戦してからも変わらずチームを見ている。田口や比嘉桃は、桜花学園時代の教え子。DFに特化したチーム作りが上手い。「七色のDF」を伝統にしている飛騨高山高校とよく似たスタイルなので、高山市のハンドボール文化にフィットしている。友野とよく似ているが、血縁関係はない。

【キープレーヤー】

陣野瞳
陣野瞳

陣野瞳
 チームを背負ってほしい大型選手。キャプテン就任1年目の昨シーズンはケガで苦しんだが。今シーズンは攻守にチームを牽引する。攻撃ではポストに入り、守っては真ん中でDFラインを統率する。現役復帰した池之端弥生コーチの助けを借りながら、真の大黒柱に成長してほしい。性格、ビジュアルともに申し分なし。人柄はいいけど、少し引っ込み思案な選手が揃うブルズのイメージを変えるような活躍を。

【この技を見よ!】

宮崎亜紀穂
宮崎亜紀穂

宮崎亜紀穂のミラクルシュート
はっきり言って、確率はよくない。ふにゃふにゃとカットインを繰り返すけど、10本打って2本入るかどうか。それでも大事なところで1本決める「星の強さ」を持っている。
印象に残っているのが、2年前のリーグ終盤の三重戦。エースの金恩恵が負傷して、最大5点ビハインドという絶体絶命のピンチに出てくると、要所でミドルを決めて引き分けに持ち込んだ。この試合で三重はプレーオフ進出を逃し、ブルズはプレーオフに望みをつないだ(最終的には5位で、プレーオフ進出はならなかったが)。
徹底マークされると苦しいものの、宮崎の1点は特別な1点。チームの盛り上がりが違う。

久保弘毅

チームの見どころ 【トヨタ紡織九州】昨年度男子8位

チームの見どころ

【トヨタ紡織九州】昨年度男子8位

【チームの戦い】
 元々はアラコ九州時代に元島邦彦監督が「小さい選手だけで勝つ」コンセプトを掲げ、韓国スタイルのハンドボールで力をつけてきたチーム。ところが急激な世代交代と大型化で、チームの色が不明瞭になり、ここ数年は低迷していた。今シーズンは金東喆ら韓国人選手を入れて、チームカラーも韓国スタイルに戻して原点回帰。まだ結果は出ていないものの、チームの文脈に合った軌道修正で、強いレッドトルネードの復活を目指す。

【予想布陣】
LW:梅本(藤本、上田)
LB:朴永吉(田中、八巻)
CB:金東喆(中本、津山)
RB:松浦(中畠)
RW:鈴木済(荒川)
PV:酒井(野田、田中)
GK:岩下(下野)

3:2:1DFと6:0DF

若くてそこそこ名の知れた選手がいるけど、コンセプトが感じられず、選手も勢いだけでプレーしていた。そんな寄せ集め状態から、今年は金東喆を司令塔に据え、チームカラーもヨーロッパ志向から韓国スタイルに戻し、チームに一本筋が通った。ヨーロッパスタイルと韓国スタイルのどちらがいい、悪いではなく、かつて紡織は韓国人の呉相民を軸に10年以上チームを作ってきた歴史がある。だから韓国スタイルへの原点回帰は間違っていない。ポストの酒井は和製朴重奎(大同特殊鋼)になれる可能性があるし、八巻はトップDFというはまり役を得て、伸びやかにプレーするようになった。
とはいえバックプレーヤーの決定力不足は相変わらずで、いつまでもベテラン左腕・中畠に頼らざるを得ない状況が続いていた。そんなタイミングで、2人目の韓国人選手・朴永吉を補強。エースポジションを任せられる選手が決まり、チームが一気に好転するか。GK岩下のアクロバティックなセーブ、キャプテンのGK下野の勝負強さ、ポストの酒井の重さなど、光るものを持った選手はいるので、韓国人2人が噛みあえば、年明け以降は台風の目になるかもしれない。

【人事往来】
IN
小峰(国士舘大)
美並(中部大)
朴永吉(韓国)

OUT
なし

 昨シーズン末に金東喆が入り、今シーズン途中から朴永吉も加わった。2人のコンビネーションが冴えてくれば、大型ポストの酒井をこれまで以上に活かせるだろう。金と朴でDFをへこませて、右バックの松浦がロングを打ち込むパターンも期待できる。
 新人ではGK小峰が地元の佐賀清和出身。佐賀のトップチームとも言うべき紡織での活躍に期待がかかる。

【指揮官】
石黒将之監督
 ドイツでのプレー経験があり、監督就任当初からヨーロッパ志向のハンドボールを打ち出していた。しかし大型化がうまくいかず、4年目の今シーズンは韓国スタイルに方向転換している。これまでの失敗を素直に認めたうえでのことだから、決して悪いことではない。クイックスタートだけに頼らず、ゲームデザインをもう少しはっきり示せるようになれば、勝ち星も増えるだろう。

【キープレーヤー】

岩下祐太
岩下祐太

岩下祐太
 見ていて楽しいGK。アクロバティックなセービングに攻撃的なスローイング、戻りながらでも正確に位置取りができるセンスなど、1つひとつのプレーに華がある。見栄えのするキーピングに安定感が加わり、昨シーズンはシュート阻止率0.387で、レギュラーシーズン1位に輝いた。
 非常に運動能力が高く、ゴールとベンチを行き来する瞬発力に、相手の7人攻撃の隙を突く直接ゴールなど、新ルールが求めるGK像に最も近い選手。世界で戦うには少々小柄(183cm)かもしれないが、技術だけでなく、精神的な成長も示して、日本代表に選ばれてほしい。

【この技を見よ!】

酒井翔一朗
酒井翔一朗

酒井翔一朗のフィジカル&メンタリティ
 見た目も体格も朴重奎(大同特殊鋼)に似てきた。ライン際での強さは群を抜く。しっかりと位置取りした時の強さは、日本の若いポストの中では一番では。
日本代表ではオルテガ監督、シグルドソン監督に代々可愛がられ、ギリギリのところでメンバー入りするしぶとさもある。「外国人監督には、声を出してなんぼ。大声を出してアピールするだけ」と笑っているが、気迫を前面に出すプレースタイルは仲間からも信頼されている。また日本代表の相川浩一ストレングスコーチにも積極的に質問するなど、体作りの取り組みも高く評価されている。
いつも朗らかで、人当たりのいい好青年。取材するたびに「これからさらに伸びていくんだろうな」と感じさせてくれる。素直な向上心が、彼の一番の武器かもしれない。

久保弘毅

チームの見どころ 【トヨタ自動車東日本】昨年度男子7位

チームの見どころ

【トヨタ自動車東日本】昨年度男子7位

【チームの戦い】
 神奈川県の相模原市にあったセントラル自動車が、宮城県への移転を機にトヨタ自動車東日本となり、日本リーグに参戦。元日本代表主将の中川善雄監督のもと、着実にステップアップし、リーグ加盟4年目の2015年度(第40回)には初のプレーオフ進出を果たした。昨シーズン(第41回)は故障者続出で7位と後退したものの、今シーズンはアグレッシブなDFを武器に、上位と互角の戦いを続けている。

【予想布陣】
LW:河内(桑名)
LB:濵口(上野、郷古)
CB:玉井(川端)
RB:川端(堤、山田)
RW:吉田(﨑前、川端)
PV:遠山(上野、野間、楳木)
GK:関口(西出)

6:0DF(フローDF)

かつては松本をトップに据えた3:2:1DFが強力な武器だった。しかし松本が故障で長期離脱していることもあり、現在は仕掛ける6:0DF(中川監督は「フローDF」と呼んでいる)をメインに戦う。日本女子代表のオープンDFほど極端に上下を分けないが、状況に応じて真ん中の上野が浮くなど、アグレッシブな仕掛けでパスカットを狙う。OFの人だった濵口、上野が真ん中で通用しているのは、中川監督の我慢強い指導の賜物。河内はパスカットの嗅覚が素晴らしく、GK関口はシュート阻止だけでなく、スローイングも年々上達している。
攻撃では左腕・山田の状態があまりよくない中、もう1人の左利き・堤が急成長。学生時代の自信を取り戻した。エース兼司令塔の玉井が切れ込み、大砲の濱口がロングを打ち込み、吉田が淡々と右サイドからシュート決めれば、東日本のペース。故障者だらけだったポストに遠山と野間が戻り、今年は戦えている。

【人事往来】
IN
楳木(筑波大)
西出(日本体育大)

OUT
永瀬(引退)

 一度に多くの選手を獲れないため、選手層がやや薄い。関口が円熟してきたタイミングで、次世代のGK西出を獲得。故障者だらけだったポストにサイズのある楳木と、的確な補強はしているが、今シーズンから3回戦総当たりになったことを考えると、少々心もとない。年間を乗り切るために、選手枠をもう2~3人増やせたら、再びプレーオフに出場できる可能性も高まるのだが…。

【指揮官】
中川善雄監督
 中央大時代から名キャプテンの呼び声高く、日本代表でもキャプテンを務めた。三陽商会、大崎電気で現役を続けたのち、理論と統率力を買われて、トヨタ自動車東日本で監督業をスタート。世界に通用する選手、チームを育てるべく、段階を追って丁寧にチーム作りをしている。OF型の選手ばかりだったチームを、ここまで守れるように育てた手腕は、もっと評価されていい。

【キープレーヤー】

堤由貴
 洛北高、明治大と、名の売れた左利き。高校の段階では「将来は右サイドで日の丸を背負う選手」と見られていたが、今もバックプレーヤーで得点力を発揮している。
東日本に入って3年目の今シーズンは、山田隼也の不調を補う活躍を見せている。アウトスペースに鋭く切れ込み、DFとかぶりながら横からミドルを打つなど、自分の強みを明確に示せるようになった。学生時代は「お山の大将」なところが見られたが、精神的にも成長が感じられる。あまり得意ではないDFでも、ハードワークする意欲が出てきた。  
堤の得点と出場時間が増えれば、チームも上を目指せる。山田が戻ってきた時の棲み分けにも注目。

【この技を見よ!】


吉田翔太のシュート精度
地味だけど、いつも淡々とシュートを決める。スペシャルな武器はなさそうだけど、どんなシュートもそつなく決める。あまり話題にのぼらないが、チームにとって絶対欠かせない選手。いい意味で余計なことをしない、生粋のフィニッシャーと言えるだろう。シュート率7割を期待できる、正真正銘の右サイドのスペシャリスト。故障が続く左サイド・松本雅史が戻れば、両翼の決定力はリーグトップクラスになる。

久保弘毅

チームの見どころ 【HC名古屋】昨年度女子6位

チームの見どころ

【HC名古屋】昨年度女子6位

【チームの戦い】
 昨シーズンは早々に連敗を止めると、3勝をあげて、新井ヘッドコーチ就任1年目で「最下位脱出」の公約を達成した。チームの雰囲気が劇的によくなり、選手の表情も明るくなった。昔からハンドボールスクールの指導など、地元に根差した活動を続けてきたチーム。勝つことで全員が報われ、好循環に乗りつつある。昨年で培われた一体感をベースに、今年は覇気を前面に押し出し、本気でプレーオフ初出場を目指す。

【予想布陣】
LW:安齋(木村)
LB:福井(丸山、綿引)
CB:笠原(多田)
RB:髙宮(水谷)
RW:水谷(馬場)
PV:吉田(竹内、中屋敷)
GK:瀧澤(白築)

6:0DFと5:1DF

 待望のゲームメイカー・笠原の加入で、チーム力が飛躍的に向上した。ここ10年ほど泣き所だったポジションに本格的なセンターが加入したことで、攻撃の意図が明確になった。とはいえ、笠原もたまに熱くなるので、今年は冷静な髙宮を右バックにして、判断力の部分を肩代わりさせている。
 DFでは水谷がチームの柱。昨シーズン終盤は水谷の負傷欠場から失速してしまった。水谷が年間通して健康であることが、上位進出の最低条件。竹内がケガから復帰すれば、5:1DFのオプションも使える。GKは遅咲きの瀧澤が27歳になってから正GKの座を獲得した。周りへの声かけ、スローイングなど、今年は捕ること以外の成長が著しい。

【人事往来】
IN
綿引(東京女子体育大)
飯島(東北福祉大)
多田(武庫川女子大)
白築(桐蔭横浜大)
OUT
戸塚(引退)
 かつての正GKで、新井体制の1年目にキャプテンを務めた戸塚が引退。キャプテンを降りると、チームに残らずに引退してしまうのが、HC名古屋の悪しき伝統でもある。キャプテンが燃え尽きてしまわないよう、チーム全体でサポートしてほしい。ちなみに今年のキャプテンはエースの福井。
 新人では経験豊富な司令塔の多田に期待がかかる。綿引はロングヒッターだが、女子球界有数のフィジカルを活かして、ポストでも起用される予定。

【指揮官】
新井翔太ヘッドコーチ
 愛知高、中京大を経て、ドイツ留学ののちにHC名古屋で指導者になった生粋の名古屋人。若くして、ハンドボールの本質をよく理解している。戦術理解の徹底だけでなく、チームのあり方、選手の立ち居振る舞いなど、細かい部分にも目を配り、万年最下位のチームを立て直した。就任2年目の今シーズンの公約は「プレーオフ出場」。いい戦いだけでは満足しない若き指揮官のもと、チームは大きく変わりつつある。

【キープレーヤー】
髙宮咲

髙宮咲
髙宮咲

 チームが強くなる時に、必ず求心力となる選手が出てくる。HC名古屋の場合は、髙宮が求心力となっている。髙宮を慕って、大阪教育大の後輩・笠原もHC名古屋を選んだという。先輩たちからの信頼も厚く、先頭に立ってチームの改革に取り組んでいる。こまめな情報発信からも、「HC名古屋をよくしていきたい」思いが感じられる。
 コート上でも攻撃の中心で、冷静に全体を見て判断できる。新井ヘッド曰く「センターではないけど、チームで一番センターらしい感覚を持った選手」。今シーズンは本職の右サイドではなく、右バックでの出場機会が増えているのも、髙宮の判断力に新井ヘッドが期待しているから。右バックを主戦場にするなら、インへ移動してのミドルだけでなく、アウトを割るプレーを増やしていきたい。

【この技を見よ!】
丸山紀子のシュート力

丸山紀子
丸山紀子

桐蔭横浜大時代はサイドシューターだったが、地肩の強さと運動能力を買われて、HC名古屋ではバックプレーヤーになった。不慣れなポジションに戸惑う日々が続いていたが、新井ヘッドに教わってコツをつかみ、男子顔負けの運動能力がシュートに反映されるようになった。豪快なミドルシュートに、新井ヘッド直伝のステップシュートが決まるようになり、「やっとハンドボールが楽しくなりました」。男子のような迫力のあるプレーで、チームに勢いをもたらす。ベンチからの得点源として貴重な存在。
コート外ではいい意味でのお調子者で、男子中学生のようなキャラクター。最近はハンドボールが上達し、「男子高校生にレベルアップしました」とのこと。

久保弘毅

チームの見どころ 【琉球コラソン】昨年度男子6位

チームの見どころ

【琉球コラソン】昨年度男子6位

【チームの戦い】
 長年司令塔を務めた水野裕紀が昨年から兼任監督になり、若返りに取り組んでいる。よくも悪くも、人の入れ替わりが激しいのがチームカラーで、今シーズンは大砲の趙顯章が移籍した。水野監督、村山、石田ら2008年リーグ加盟当初の一期生もベテランになり、次世代を担う生え抜きの育成が引き続きテーマになってくる。

【予想布陣】
LW:牧山(仲程、三村)
LB:石川(村山、棚原)
CB:村山(赤塚、水野、又吉)
RB:福田(村山、大和田)
RW:名嘉(浅井、中村)
PV:松信(伊計、連)
GK:内田(石田、田村)

6:0DF

 新人の仲程、浅井は決定力のある両サイドだが、まだDFに不安が残る。ベンチに近い側の時のみ出場して、DFでは牧山、名嘉が2枚目に入り、バランスを整えている。松信以外に真ん中を守れる人材がほしいところに、伊計が去年から台頭してきた。ここに大和田がもう1枚加われば、ローテーションが楽になる。以前にも増してOF型の選手が増えたため、かつてのコラソンの代名詞だった3:3DFは封印されている。
 攻撃陣ではバックプレーヤーの層の薄さが深刻。上手い選手は多いが、絶対的な決め手に欠ける。赤塚を左サイドに回せるくらいの余裕が出てくれば、四強に食い込めるのだが…。人手不足に悩んでいたタイミングで、元エース・棚原の復帰は朗報。

【人事往来】
IN
浅井(中京大)
仲程(東海大―デンマーク)
中川(朝日大)
東長濱(アドバイザーで復帰)
棚原(復帰)

OUT
趙顯章(豊田合成)

 左の大砲で、1年かけてチームになじませてきた趙が移籍した。真ん中を守れて、ロングが打てる趙の穴はとてつもなく大きい。台湾ルートで、趙に続く掘り出し物を補強できれば面白いが、若手を起用することも大事。新人では仲程、浅井の両サイドの決定力は、リーグでも通用している。
 チームの頭脳だった東長濱秀作が、今年からアドバイザーで復帰したのは嬉しいニュース。水野監督がコートに立った時に、ベンチワークを任せられる。また海外挑戦で宙に浮いていた棚原が復帰したのは大きい(10月21日の豊田合成戦から出場可能)。2年前はOFでの暴走が目立った棚原だが、東長濱アドバイザーなら棚原を制御できる。

【指揮官】
水野裕紀監督
 長年チームを率いてきた東長濱秀吉監督(東長濱秀作アドバイザーの父)に代わり、昨年から兼任で指揮を執る。選手との年齢も近く、毎日の練習をしっかりと見ることで、若手のモチベーションを高めてきた。チーム全体にハードワークを落とし込んでいるのも好印象。監督業が主とはいえ、スムーズなボール回しは健在。むしろ兼任になってからの方が、短時間で攻撃を立て直せているようにも見える。一時期ほど7人攻撃を使わなくなったが、勝負どころでは7人攻撃を仕掛けてくる。

【キープレーヤー】
福田丈

 右サイドのレギュラーだったが、趙が抜けた今年から右バックになった。元々が中部大インカレ優勝時の右バックで、本来のポジションに戻って「プレーしやすい」と喜んでいる。持ち味は視野の広いプレー。趙のようなロングの迫力は求められないが、コート全体が見えていて、正確にパスを配れる。シュートのバリエーションも豊富で、苦しい場面でのステップシュートはチームを救う武器になる。これまでの2年間とは異なる福田の魅力が、今年は見られるだろう。

【この技を見よ!】
・石川出のハードワーク

石川出
石川出

 大崎電気の時はスポットでしかコートに立てず、苦しんでいた。昨シーズンにコラソンに移籍してからは出場時間が増えて、攻守によさが出るようになった。自分のアピールだけにこだわるよりも、常にチームのことを考えてプレーした方が、石川の「らしさ」が出る。攻撃では常に前を狙いながら、周りを活かせる。守ってはハードワークで、味方を助ける。昨シーズンは特に、「DFでここまで身体を張るか!」というくらい、献身的なプレーが印象的だった。
打てて、守れて、勝負強くて、リーダーシップも発揮できる日体大時代のよさが、ようやく日本リーグでも見られるようになった。今年もフォア・ザ・チームのプレーでコラソンをリードしてくれるに違いない。年間通してチームの中心に置いておきたい選手なので、ケガには気をつけて。

久保弘毅