ハンドボール日本代表紹介 #41 河田知美(北國銀行)

河田知美
河田知美

#41 河田知美(北國銀行)

・魅惑の僧帽筋
 小柄で、筋骨隆々というタイプではないが、見事なまでに僧帽筋が発達している。肩甲骨周りも柔らかい。まさに「投げるために生まれてきた」ような体つき。ほどよく後ろに入るテークバックは、野球の好投手のよう。大きいハンドボールを、小さなボールを投げるかのように扱える。とにかく投げる姿が美しいので、河田のシュートモーションはお金を払って見る価値がある。

 160㎝しかないのに、ロングシュートを決め切れる技術の持ち主。十八番は「落ち際のロング」。最高到達点から少し落ちてきたタイミングでロングを放つ。DFの手が下がりだすタイミングでシュートコースを見つけて、正確に打ち分ける技術がある。「1人時間差」とも言うべき、空中での妙技に注目を。国内でも小柄な部類に入るので、7mスローではラインより少し後ろに立って、シュートコースを確保する。こういう細かいところの「もうひと手間」を惜しまないところが、小さくても世界で戦える秘訣だという。

 守れる左サイド(LW)との併用が前提になるが、左バック(LB)ではポストパスも含めた多彩な技を見せてくれる。左サイドのバックアップもできるし、元々はシューターだが短時間ならセンター(CB)もできる。7人攻撃の理解度が高く、数的優位を利用するのも上手い。世界レベルだとサイズ不足に苦労する場面もあるが、アジアレベルなら巧さを存分に発揮してくれる。攻撃のオプションを増やすための、貴重なバックアップ要員である。

 クールで理知的なプレースタイルと、コート外では全力で笑いを取りにいくギャップが魅力。一生懸命な割には、仲間から「すべり芸」と言われているのが少々不憫。「巧い!」だけでなく「面白い!」のひと言が、河田を勇気づける。会場のみなさんもぜひ、彼女に「面白い!」のひと言を。親友でムードメイカーの#9横嶋彩がいない分も、盛り上げ役で頑張ってほしい。

久保弘毅