#27 佐々木春乃(北國銀行)
・攻守のカギを握る
日本待望のロングヒッターで、なおかつ攻守両面で出来ることの幅が広い。おそらく今大会のキーパーソンになるだろう。これまでの女子日本代表に足りなかった部分を補ってくれる存在。佐々木の活躍で、試合の流れが大きく変わりそう。
まずロングが打てるのが最大の魅力。カットインが得意な選手ばかりが揃った今のメンバーだと、ヨーロッパ勢がベタ引きの6:0DFで守ってきた時に手詰まりになりやすかった。ここで佐々木と#36中山といった若い長距離砲が9mから決めてくれたら、相手もDFラインを下げられなくなる。DFが詰めてくれば、ポストパスも落とせるし、ロング一辺倒ではなくアウト割りもできる。攻撃の選択肢が多く、クレバーな選手なので、相手の出方に応じて得点パターンを変えられる。
守りでも今回は大役を担う。#25大山とともに5:1DFのトップを務める。長いリーチで相手のパス回しを邪魔しつつ、7人攻撃を仕掛ける相手にプラス1(1人余った状態)を作らせない。「1人で2人分守る」くらいの勢いで守るのが役目。日本オリジナルのオープンDF(3:3DFのように上と下を分けるDF)に対して、どの国も7人攻撃を多用してくる。そこに対抗するための武器が5:1DF。相手の戦術の「さらに上」をいくために、トップDFに入る選手の賢さが求められる。ウルリック・キルケリー監督は初めて見た時から、佐々木のインテリジェンスに目を奪われたという。
近未来のエース候補であり、攻守に流れを変える切り札とも言える選手。とにかく佐々木が出てきた時は要注目。明確な狙いを持ってコートに送り出されるはずだから、彼女の役割と仕事ぶりを見てほしい。佐々木で追加点を3点ぐらい取って、なおかつ5:1DFでリズムを作れたら、日本の上位進出は現実味を帯びてくる。
久保弘毅