チームの見どころ
【トヨタ自動車東日本】昨年度男子7位
【チームの戦い】
神奈川県の相模原市にあったセントラル自動車が、宮城県への移転を機にトヨタ自動車東日本となり、日本リーグに参戦。元日本代表主将の中川善雄監督のもと、着実にステップアップし、リーグ加盟4年目の2015年度(第40回)には初のプレーオフ進出を果たした。昨シーズン(第41回)は故障者続出で7位と後退したものの、今シーズンはアグレッシブなDFを武器に、上位と互角の戦いを続けている。
【予想布陣】
LW:河内(桑名)
LB:濵口(上野、郷古)
CB:玉井(川端)
RB:川端(堤、山田)
RW:吉田(﨑前、川端)
PV:遠山(上野、野間、楳木)
GK:関口(西出)
6:0DF(フローDF)
かつては松本をトップに据えた3:2:1DFが強力な武器だった。しかし松本が故障で長期離脱していることもあり、現在は仕掛ける6:0DF(中川監督は「フローDF」と呼んでいる)をメインに戦う。日本女子代表のオープンDFほど極端に上下を分けないが、状況に応じて真ん中の上野が浮くなど、アグレッシブな仕掛けでパスカットを狙う。OFの人だった濵口、上野が真ん中で通用しているのは、中川監督の我慢強い指導の賜物。河内はパスカットの嗅覚が素晴らしく、GK関口はシュート阻止だけでなく、スローイングも年々上達している。
攻撃では左腕・山田の状態があまりよくない中、もう1人の左利き・堤が急成長。学生時代の自信を取り戻した。エース兼司令塔の玉井が切れ込み、大砲の濱口がロングを打ち込み、吉田が淡々と右サイドからシュート決めれば、東日本のペース。故障者だらけだったポストに遠山と野間が戻り、今年は戦えている。
【人事往来】
IN
楳木(筑波大)
西出(日本体育大)
OUT
永瀬(引退)
一度に多くの選手を獲れないため、選手層がやや薄い。関口が円熟してきたタイミングで、次世代のGK西出を獲得。故障者だらけだったポストにサイズのある楳木と、的確な補強はしているが、今シーズンから3回戦総当たりになったことを考えると、少々心もとない。年間を乗り切るために、選手枠をもう2~3人増やせたら、再びプレーオフに出場できる可能性も高まるのだが…。
【指揮官】
中川善雄監督
中央大時代から名キャプテンの呼び声高く、日本代表でもキャプテンを務めた。三陽商会、大崎電気で現役を続けたのち、理論と統率力を買われて、トヨタ自動車東日本で監督業をスタート。世界に通用する選手、チームを育てるべく、段階を追って丁寧にチーム作りをしている。OF型の選手ばかりだったチームを、ここまで守れるように育てた手腕は、もっと評価されていい。
【キープレーヤー】
堤由貴
洛北高、明治大と、名の売れた左利き。高校の段階では「将来は右サイドで日の丸を背負う選手」と見られていたが、今もバックプレーヤーで得点力を発揮している。
東日本に入って3年目の今シーズンは、山田隼也の不調を補う活躍を見せている。アウトスペースに鋭く切れ込み、DFとかぶりながら横からミドルを打つなど、自分の強みを明確に示せるようになった。学生時代は「お山の大将」なところが見られたが、精神的にも成長が感じられる。あまり得意ではないDFでも、ハードワークする意欲が出てきた。
堤の得点と出場時間が増えれば、チームも上を目指せる。山田が戻ってきた時の棲み分けにも注目。
【この技を見よ!】
吉田翔太のシュート精度
地味だけど、いつも淡々とシュートを決める。スペシャルな武器はなさそうだけど、どんなシュートもそつなく決める。あまり話題にのぼらないが、チームにとって絶対欠かせない選手。いい意味で余計なことをしない、生粋のフィニッシャーと言えるだろう。シュート率7割を期待できる、正真正銘の右サイドのスペシャリスト。故障が続く左サイド・松本雅史が戻れば、両翼の決定力はリーグトップクラスになる。
久保弘毅