「ハンドボール観戦」カテゴリーアーカイブ

チームの見どころ 【三重バイオレットアイリス】昨年度女子4位

チームの見どころ

【三重バイオレットアイリス】昨年度女子4位

【チームの戦い】
 昨シーズンはリーグ加盟11年目で初のプレーオフ進出を果たした。これまで顔ぶれが決まっていた女子の四強に食い込んだ功績はとてつもなく大きい。櫛田監督がチームの青写真をしっかりと描き、梶原ビジネスマネージャーが地域とのつながりを作り、高井プロモーションマネージャーが写真と動画でチームの魅力を伝える――この3つの柱が機能したことで、三重の選手の意識が飛躍的に高まり、リーグ屈指の人気チームになった。「クラブチームのあり方」を追求する三重の存在は、企業チームにとってもお手本になる部分は多い。

【予想布陣】
LW:河嶋(近藤)
LB:原(多田、中田)
CB:加藤(林)
RB:多田(万谷、森本)
RW:島居(佐野)
PV:近藤(原、森本)
GK:高木(花村)

6:0DFと5:1DF

 原と万谷が真ん中を守り、GKの花村との3人で試合を落ち着かせて、途中から爆発力のあるGK高木(旧姓山根)を投入して一気に突き放す。昨シーズンはこのフォーマットが上手く機能した。大当たりはないが、いつもほどほどに当たる花村と、局地的な爆発力のある高木の使い分けが、60分トータルで試合を作るギアチェンジの役割を果たした。今年は精神的な成長が見られる新婚の高木を先発GKに据えて、スタートダッシュを狙う。
 課題は右サイドとポスト。特にポストは絶対的な選手がいないので、原の強さ、近藤の動き、左腕・森本の意外性を使い分けながら、バックプレーヤーを4人配置するような戦い方になるだろう。

【人事往来】
IN
林(桐蔭横浜大)
中田(福岡大)
島居(武庫川女子大)
水谷(茨城大)
OUT
伊藤(練習生に)
角南(ソニーへ移籍)
池原(デンマークに移籍)

 チームで一番のフィニッシャーだった池原、攻撃を組み立てるポイントになっていた角南、この2人が抜けたのは痛い。代表クラスの右サイドとポストの穴をどうやって埋めるかが、新しいシーズンの課題になる。
 櫛田監督が「4人とも大当たり」と言う新人は、早い段階で戦力になっている。林は桐蔭横浜大を初のインカレ3位に導いたゲームメイカー。ポストとの2対2だけでなく、スペースを作る動きが上手い。中田はDF力とリーダーシップがあり、真ん中だけでなくトップDFでも使える。島居は高低を使い分けるサイドシュートが魅力で、何年もチームにいるような落ち着きがある。水谷はケガで出遅れたが、肉体派の左利きで期待は大きい。

【指揮官】
櫛田亮介監督
 日本の女子球界を変えるであろう指導者。ドイツでプレーした経験に、大ケガを乗り越えて北陸電力で社外選手としてプレーを続けた経験など、自分自身をマネジメントしてきた蓄積が、今のチーム運営に生きている。まっとうなビジネス感覚を持ち、目の前の結果に振り回されず、やるべきことを積み重ねていける監督。理不尽さのないベンチワークも、見ていて気持ちいい。

【キープレーヤー】
森本方乃香

森本方乃香
森本方乃香

 ゴリゴリカットインを得意とする肉体派ユニット「ゴリゴリシスターズ(通称GGS)」の一員。2年目の今年はポスト挑戦を志願して、5月の社会人選手権ではスペースに走り込むなど、気の利いたプレーでチームを盛り上げた。ポストの動きを勉強することで、本来のバックプレーヤーでの動きもよくなってきたとのこと。攻撃の「表と裏」が見えてきたサウスポーのこれからが楽しみ。多田仁美とのGGSでの活動にも期待。

【この技を見よ!】
・原希美の笑顔

原希美
原希美

 チームでも日本代表でもキャプテンの頑張り屋さん。苦しい時でも歯を食いしばって、勝利のために体を張れるのが、原の最大の長所である反面、1人で頑張りすぎるところもあった。ところがここ1年くらいで、いい意味で肩の力が抜けてきた。すべてを自分だけで背負い込むのではなく、仲間の力を借りながら、試合の節目でいい仕事をするようになった。コート上での笑顔が増え、肩の力が抜けたことで、プレーの幅も広がった。1試合に15本ぐらいシュートを打っていた「私が引っ張る」時代よりも、「仲間と頑張る意味」を理解した今の原の方が、チームにより多くのプラスをもたらしている。苦しい場面でも「私の顔を見て」と言えるリーダーがいるチームは強い。

チームの見どころ 【オムロン】昨年度女子3位

チームの見どころ

【オムロン】昨年度女子3位

【チームの戦い】
 昨シーズンのハイライトは日本選手権だった。東濱が攻守にチームを背負い、ポストの永田もライン際で仕事をして、決勝では延長の末に北國銀行を下している。しかし年明けからは永田のコンディション低下もあり、勢いは続かなかった。地元・熊本開催のプレーオフでは準決勝で広島に敗れるなど、不完全燃焼でシーズンを終えた。攻守に東濱への依存度が高すぎる今のチーム状況を、どこまで改善できるか。

【予想布陣】
LW:勝連(松本)
LB:吉田(小舘)
CB:東濱(末吉)
RB:松尾(石井)
RW:相澤(尾崎)
PV:永田(川俣、山下、福井)
GK:宮川(白石)

6:0DF

 昨シーズンスランプに陥っていた勝連が復調の兆しを見せている。東濱と永田が体調万全で、勝連がいつもの勝負強さを発揮できれば、何とか戦える。エースの吉田は好不調の波が激しく、走り込んでボールをもらえなくなると、とたんに手詰まりになる。吉田、松尾、石井のレベルアップがなければ、今年も苦しい。
GKは宮川が地道に成長しているのがプラス材料。学生時代から期待されていた白石が伸び悩んでいるのが誤算か。GKは使わないと成長しないので、宮川、白石の起用法もポイントになりそう。

【人事往来】
IN
尾崎(東京女子体育大)
西尾(天理大)
野中(明光学園)
OUT
山中(引退)
澤田(引退)
小林(引退)
上地(引退)

 右サイドの澤田の代わりに相澤、DF要員の小林の代わりに小舘、先発GKの山中の代わりに宮川が入る予定。黄慶泳ヘッドコーチは「今年は相澤、小舘、宮川を一人前に育てる年」と位置づけている。主力の穴を埋めるというよりは、むしろスケールアップと言っていいだろう。長い下積みを経験してきた3人の開花を期待したい。
 強かった頃は毎年のように学生球界のトップ級を獲得していたが、今年の新人補強は控えめ。左利きの尾崎が、右サイドのバックアップで出番をもらえるか。

【指揮官】
黄慶泳(ファン・キョンヨン)ヘッドコーチ
 日本代表監督も務めたことのある黄さんは、オムロン以外の選手、監督からも愛される人格者。韓国から日本に移り住み、日本のハンドボールの強化を誰よりも真剣に考えている。ちょっぴり不器用そうでも、全身全霊で思いを伝えようとするし、見た目以上に女心をわかっている。以前は主力メンバー固定の戦いを好んでいたが、近年は選手交代にチャレンジするなど、常に謙虚で向上心を忘れない。

【キープレーヤー】
相澤莉乃

相澤莉乃
相澤莉乃

 オムロンは伝統的に下積みが長い。高卒の選手が6年ぐらいの下積みを経て、主力選手に成長する。相澤は大卒でシュート力はあったが、DF面で評価の高かった澤田がいたため、入社してからの5年間、スタメンで出る機会に恵まれなかった。ようやくレギュラーの座をつかんだ今シーズン、どれだけのインパクトを残せるか。速攻ではスピードがあり、縦振りのフォームから歯切れのいいシュートを打ち込む。高低の揺さぶりができて、途中出場で培った勝負度胸もある。あとは不用意な退場をなくすこと。相澤が長くコートに立ち、右サイドで得点を量産することが、チームの勝利につながる。

【この技を見よ!】
・東濱裕子の孤軍奮闘

東濱裕子
東濱裕子

 やはり東濱がいるだけで、チームの雰囲気が違ってくる。DFでは永田と組んで真ん中を守り、OFではセンターでパスを配りつつ、大事なところは自分で打ってくる。ロングシュートとポストパスを基本線に、パッシブプレー寸前でも多彩なステップシュートで得点できる。攻守すべてにおいて、オムロンの最後の砦は東濱である。ただし試合前半から難しいシュートを打ちだしたり、ポストパスに優しさがなくなってきたら要注意。シンプルな攻撃ができていない兆候とも言える。攻守に負担が大きすぎるので、東濱の負担を肩代わりできる若手が1人でも出てきてくれたら。

久保弘毅

チームの見どころ 【湧永製薬】昨年度男子4位

チームの見どころ

【湧永製薬】昨年度男子4位
 昨シーズンは成田、東江がドイツ留学から戻り、久しぶりに戦える布陣になった。迫力のある試合をしたかと思うと、チームでまとまりを欠いたりと、好不調の波は激しかったものの、3年ぶりのプレーオフに返り咲いている。上位とも互角に戦えるだけの戦力は揃ってきたので、あとは杉山裕一新監督のもと、どれだけ一体感を作り出せるか。全員が素直に力を発揮し、互いに補うことができれば、タイトル奪還も夢ではない。

【チームの戦い】
【予想布陣】
LW:子安(矢田)
LB:成田(谷村)
CB:佐藤(東江、原)
RB:中浦(仁平、小賀野、稲毛)
RW:野村(福田)
PV:今井(助安、松本、稲毛)
GK:志水(伊藤、荻原)

6:0DF

選手層の厚さは、上位3チームにひけを取らないので、あとは組み合わせ次第。特にバックプレーヤーの3人はもっと自由に組み合わせてもいい。たとえば「エースの成田の代わりに谷村」ではなく、成田と谷村を同時に出場させても面白い。元エースの谷村を上手に使って、得点を上積みできれば、攻撃力がアップする。東江のトリッキーなシュートを生かしたい時は、佐藤と東江のセンター2枚を同時に使って、球回しのバランスを整えるのも悪くない。
 守備面では、成田の相棒となる、3枚目を守れる若手が出てきてほしいところ。ドイツ帰りの松本、新人の助安にメドが立てば、近年増えている真ん中での失点を減らせるだろう。杉山監督は「DFにこだわりたい」と、湧永山脈の復活をテーマに掲げている。名GK志水がいるうちに、もう一度DFを立て直したい。

【人事往来】
IN
助安(大阪体育大)
岡本大(中部大)
OUT
新名(大分で教員に)

 左サイドで勝負強さを発揮した新名が抜けるが、本来ならば子安が入るポジション。ケガで昨シーズンを棒に振ったが、今年は問題なし。
新人補強は、ポストの助安のみ。「湧永=ポスト」のイメージがあるので、助安も一級品のポストに育ってほしい。ベテランの今井がケガがちなので、世代交代は急務。
今年も稲毛、原、矢田の3選手が海外のトライアウトを受験するなど、毎年海外留学で選手が少なく、ケガ人が出ると人手不足に陥る。留学システムを続けるのなら、チームで抱える人数を、現状の18人からもう少し増やした方がいいかもしれない。

【指揮官】
杉山裕一監督
 誠実な大男は、いつも湧永山脈の真ん中で体を張っていた。現役引退後は営業職で頑張り、コーチを経て、今年から監督に就任した。弁が立つタイプではないが、ハンドボールへの情熱は人一倍で、人の心の機微を感じ取る繊細さもある。選手個々で温度差のあるチームを、どのようにまとめるか。喋りが達者な山中基コーチとの二人三脚で、名門復活に取り組む。

【キープレーヤー】

成田幸平
成田幸平

成田幸平
 2年間のドイツ留学を経て、フィジカルが強くなった。意識も高くなった。ファイトを前面に押し出すようになったのはいいことだが、チームメイトとの温度差にいら立ち、試合中にフラストレーションを貯めることも多くなった。とはいえ、成田の「勝ちたい気持ち」は、「強い湧永」復活に欠かせないものだし、全員が成田のレベルまで意識が上がれば、かつてのような「戦う集団」になれるだろう。ただし、成田にも歩み寄りは必要。若手にはもう少し優しい言葉を。味方のミスを尻ぬぐいして、その後に言うべきことを論理的に言えるようになれば、チームも大きく変わる。

【この技を見よ!】

今井昭人
今井昭人

・今井昭人の片手キャッチ
 ゴールエリア内のバウンドパスを片手で捕球して、ゴールにねじ込む。「湧永の伝統芸」とも言うべき片手キャッチが、今井の最大の武器である。DFからも邪魔されない場所でボールをもらえるから、パスカットのリスクを防げる。色んなところで2対2ができる。山口修(現・高知中央高監督)から受け継いだ「匠の技」を、これからは若いポストにも伝えてほしい。強いポストがライン際を制圧し、理詰めのセットOFでゲームを支配するのが、強い湧永の戦い方でもある。

久保弘毅

チームの見どころ 【トヨタ車体】昨年度男子3位

チームの見どころ

【トヨタ車体】昨年度男子3位

【チームの戦い】
昨シーズンは社会人選手権、国体の二冠を獲ったものの、懸念されていたDFの弱体化の影響で、残り2つの大事なタイトルを逃してしまった。引退した藤田を復帰させて、真ん中のDFを強化したものの、安定感は戻らなかった。使いながら育てていくチームで、毎年成長株が出てくる楽しみはある反面、底上げがタイトルに直結しないのがもどかしい。フィジカル強化をはじめとする個の育成力は間違いなくリーグで一番。勝利と育成を高い次元で両立させたい。

【予想布陣】
LW:藤本(杉岡)
LB:津屋(石戸、吉野)
CB:門山(玉城、木切倉)
RB:高智(熊谷)
RW:渡部(内海)
PV:菅野(笠原、藤田、岡元竜)
GK:甲斐(加藤、岡本大)

6:0DF

ベンチ入り全員を使いながら戦うスタイルは変わらない。アキレス腱断裂で丸一年を棒に振った木切倉の復帰はプラス材料。カットインとパス回しのイメージが強かったのに、復帰後には9mの外からロングを放つ「超回復」を見せていた。
選手層は厚いが、あえて不安なポジションをあげると、右バックとポスト。右バックは高智にムラがあり、熊谷は故障がち。ポストは人材豊富とはいえ、攻撃での決め手に欠ける。日本代表で真ん中に抜擢された笠原が、攻守にどれだけ支配力を示せるか。

【人事往来】
IN
吉野(明治大)
杉岡(中央大)
OUT
松村(GKコーチ専任)
﨑前(引退)
高木(引退)

勝負強かった松村、﨑前が引退したが、戦力的な目減りはあまり感じられない。新人の吉野、杉岡は早くもレギュラー争いに食い込んでいる。吉野はちょっぴりアーム気味のテークバックなのに、シュートのコントロールが抜群。ハイコーナーぎりぎりに打ち込む精度は新人離れしている。杉岡はスピードとシュートテクニックがあり、不動の左サイドである藤本を脅かす存在に。
5月の社会人選手権を最後に、ポストの高木が引退したのは残念。ヒザの状態が思わしくなかったとはいえ、攻撃力は車体のポストの中では一番だったので、得点力の低下が懸念される。

【指揮官】
香川将之監督
酒巻清治前監督が日本代表のチームマネージャーになったので、香川コーチが監督に昇格した。酒巻前監督はいずれ香川監督に禅譲するつもりでいたので、既定路線の人事である。非常に理知的で、人の意見を聞ける賢さがあるので、現役時代からチーム内だけでなく、社内での評価も高かった。強いフィジカルと原理原則を大事にする車体のハンドボールを継承しつつ、これまでのフリーオフェンス一辺倒から、もう少し整理されたハンドボールを目指していくという。選手のよさを的確に表現できるボキャブラリーがあり、新監督でありながら、なかなか味わい深いコメントをする。

【キープレーヤー】
津屋大将

津屋大将
津屋大将

全国的には無名でも、高い身体能力とハンドボールを理解する頭脳があれば、社会人で大きく伸びる――そんなトヨタ車体のコンセプトを象徴する選手が津屋だ。日本リーグに入れるかどうかの当落選上の選手が、しっかりと身体を作り、正しいハンドボールを理解して、打ててさばけるバックプレーヤーになった。これまでは右肩上がりに成長していたが、昨シーズンは入社4年目で初めて壁にぶつかった。以前のような「チームを勢いづける脇役」から「チームを勝たせる主力」にステップアップしたからこそ、求められるハードルも高くなる。「もうひと手間をより丁寧に」を心がけて、オーソドックスかつ理にかなったプレーで状況打開を試みる。

【この技を見よ!】
・門山哲也のコースの打ち分け

門山哲也
門山哲也

以前の門山は強烈な流しのシュートを持ちながら、引っ張りのシュートが甘くて苦労していた。しかし昨年から胸周りが柔らかくなり、「ボール1個分長く持てるようになった」ことで、コースの打ち分けの精度が上がった。常にGKを見ながら、GKの動き出しと反対の方向に打てているから、見ていて気持ちいい。ダイレクトに間を割る強さに加えて、GKの逆をつくシュート技術があるから、短時間で効果的な働きができる。苦しい場面でもOFを立て直せる力を買われて、日本代表に復帰した。

久保弘毅

チームの見どころ 【広島メイプルレッズ】昨年度女子準優勝

チームの見どころ

 

【広島メイプルレッズ】昨年度女子準優勝

 

【チームの戦い】

昨年12月に韓国代表の李美京が加入して、チームが生まれ変わった。センターでゲームをコントロールできて、ポストパスが上手い李美京が入ったことで、最大の強みであるポストの高山を生かせるようになった。高山にパスを出せずに苦しんでいたのがウソのように、色んなところからポストパスを出せるようになり、攻撃の幅が広がった。プレーオフの決勝では北國銀行の堅い守りに敗れたとはいえ、リーグ戦後半の「瞬間最大風速」は、間違いなくメイプルが一番だった。

 

【予想布陣】

LW:堀川(村田、石川)

LB:三田(青山、高山)

CB:李美京

RB:眞継

RW:門谷(石田、國廣)

PV:高山(堀川、角屋)

GK:板野(中村)

 

6:0DF

 

相変わらずバックプレーヤーが手薄なので、ポストの高山を上に持ってくる時間帯が今年も出てくるか。もしくは高山、堀川のダブルポストも考えられる。守りからそのまま攻めるために、ポストの堀川を左サイドに入れるパターンが昨年から増えている。本物のサイドシューターではないので、左サイドで仕留めたい時には本職の村田を投入。村田が一発必中で決めてくれると、流れがよくなる。右サイドの門谷は、ポストの高山とともに日本代表クラスの実力者。

 

【人事往来】

IN

三田(東京女子体育大)

石川(東京女子体育大)

中村(東京女子体育大)

OUT

塩見(引退)

塩田(引退)

笠木(引退)

加須屋

 

新エースに育ちつつあった笠木の引退が痛い。DFの要だった塩見の穴は堀川で埋められるとしても、笠木の得点力を肩代わりできる人材は見当たらない。派手なシュートを決める加須屋も登録から外れて、バックプレーヤーの頭数が致命的に不足している。

期待の新人は三田。佼成女―東女体大とエリートコースを歩んできたバックプレーヤーで、できることの幅が広い。非常にバランスがよく、判断力が優れている一方で、日本リーグレベルで通用する武器がほしいところ。石川、中村はバックアップからのスタートになる。

 

【指揮官】

金明惠(キム・ミョンヘ)監督

元韓国代表で、日本リーグでプレーする韓国人選手の草分け的存在。北國銀行で選手兼コーチとしてプレーしたのちに、立山アルミ、トヨタ紡織九州で長くコーチを務めた。韓国のスタイルを熟知しながら、日本のハンドボールもよく理解していて、2015年の監督就任以来「個のレベルアップ」を主眼にチームを強化している。細やかな気配りに優れ、男女問わず「ケイさん」を慕う人は多い。

 

【キープレーヤー】

 

板野陽
板野陽

昨シーズンは実質1人でゴールを守り抜いた。事実上のGKコーチ・高森のアドバイスを素直に吸収し、成長を続けている。長い手足をぐにゃぐにゃ動かしながら、意外な瞬発力でノーマークシュートを阻止する。軟体動物のようでいてダイナミックに動けるから、シューターは見慣れない光景に戸惑ってしまう。

以前から日本代表クラスのサイズと実力があったが、控えGKがいなかったチーム事情もあり、声がかからなかった。今年は新人GK中村が入ったので、心おきなく代表活動に参加できる。課題はスローイング。柔らかい手足をまとめきれないので、長い距離の送球に不安が残る。ここを克服できれば、次世代のNo.1GKになれる。

 

【この技を見よ!】

高山智恵
高山智恵

・高山智恵のポストプレー

メイプルが強い時は必ずと言っていいほど高山の得点が伸びている。しっかりと位置を取って、対角のポストパスをもらえている時は、セットOFが好調な証拠。かつて宋海林、大前(現コーチ)と築き上げたコンビネーションが、金美京が入ったことで復活しつつある。以前と比べてパスをもらえる機会が増えて、表情も明るくなった。

元々がポストで初の得点王まであと一歩まで迫ったこともある点取り屋。サイドDFに