【チームの戦い】
ハンドボールどころ富山に新しくできた実業団チーム。氷見と高岡向陵という2強のある県なので、大学を出た有力選手が戻ってくる場所になれば、2年目以降の伸びが期待できる。現時点では、若くてちょっと足りない選手の集合体。経験でカバーできる部分と、経験だけでは何ともならない部分を見極めて、来年度以降の成長につなげたい。
富山でのホームゲームは、バスケットボールのBリーグのような演出で、プレー中も絶えずBGMが流れる。音と手拍子に合わせてプレーするので、アップテンポな展開の方がマッチしそう。
【予想布陣】
LW:牛山(鈴木、水野)
LB:望月(唐木澤)
CB:横嶋遙(菊池、牛山)
RB:園田
RW:佐藤(兒玉)
PV:鎌倉(横嶋遙)
GK:安田(石田)
DF:山本
主に6:0DF
チームの要だった横嶋かおるが、年明け早々に引退。彼女がいたから、ここまで試合になっていたのだが、残されたメンバーだけでは少々厳しい。しかもエース望月が故障すると、園田への負担が大きくなる。片手キャッチが巧みなリーグ経験者・鎌倉へのポストパスを上手に利用したいところ。
DFは失点が多いものの、OFのミスからの速攻が多いだけで、守れていない訳ではない。ハードワークを徹底しているので、好感が持てる。小柄なGK安田がハイコーナーに届かないところは、石田のサイズで補うだけでなく、プレスDFでカバーしてもいいのでは。
【人事往来】
IN
望月(国士舘大)
安田(日本体育大)
菊池(不来方高)
鈴木(東海大)
佐藤(東海大)
OUT
横嶋か
サイズはちょっと足りないが、大学で終わるにはもったいない選手たちが加入。1年目からレギュラーの座をつかんで活躍した。望月は荒削りだが、カットインのキレ味に可能性あり。安田はリーグ最小のGKでも、ゴールを死守する心意気がいい。鈴木、佐藤の両翼は、DFでも頑張る。
【指揮官】
大森聡監督
高岡向陵高を長年率いた、高校球界の名将。日本代表コーチで世界に触れて視野が広がり、実業団にチャレンジするきっかけになった。粘り強いDFと両サイドのスピード、ロングシューターの育成が得意分野なのだが、肝心の長距離砲がチームにいないため、大森監督の色を出せずに苦戦している。ロングシューターを大きく育てることができる指導者なので、サイズのある大砲を獲れれば、チームも大きく変わるだろう。
【キープレーヤー】
安田絢恵
下位チームのGKはノーマークシュートにさらされる。ノーガードでやられる場面が多いから、技術以上に精神力が重要になってくる。打たれても、打たれても、なお向かっていける気持ちがないと、長いシーズンを乗り切れない。
リーグ加盟1年目で最下位に沈むアランマーレだが、新人GKの安田がいたから、ここまで戦えたと言っていいだろう。どんな時にもへこたれず、強い気持ちで立ち向かい、味方に声をかけ続ける。大森監督が「君の人間性が欲しい」と言って獲得したのも納得である。「せっかく憧れの日本リーグに入れたのだから、へこたれてる場合じゃない」と言えるあたりは、並の新人とは違う。リーグ最小の162cmでも、ハートの強さは一級品。これからも仲間を救う強気を発揮してくれるに違いない。
【この技を見よ!】
鎌倉絵美子の片手キャッチ
横嶋かおるが引退したので、チーム唯一の日本リーグ経験者になってしまった。当初はDFの要として期待されていたが、ちょっぴり押しの弱い性格もあってか、DFリーダーと呼ぶには物足りなかった。むしろ年明けからポストに入ることで、鎌倉らしさが出るようになってきた。
必殺技は片手キャッチ。ライン際に位置を取り、空中へのパスを片手でつかみ取る。センターの横嶋遙、右バックの園田麻乃との「縦の2対2」は貴重な得点源。「色んなところで2対2をしたい」と、意欲を見せている。ライン際だけでなく、中継からのミドルシュートという選択肢も面白い。鎌倉の得点が伸びれば、アランマーレの勝ち星は増える。
久保弘毅