ハンドボールを見る
・得点差を見る
試合の流れをつかむには、点差に注意して試合を見るといいでしょう。ハンドボールでは昔から「奇数の点差」にすることが、ひとつのセオリーになっています。同点からまず1点差にする。2点差から3点差へ、4点差から5点差へというように、奇数の得点差がひとつの目安だと言われています。経験則から生まれた言葉だと思われますが、実際に試合を見る際にいい基準になります。
接戦になると、だいたい離れても2点差までで試合が推移していきます。ここで3点差をつけたチームが、一歩抜け出したと言っていいでしょう。5点差までくると、相手にも焦りが出てきます。7点差、9点差と来て11点差までなると、相手にも諦めムードが漂います。
このように点差に着目しながら試合を見ていると、勝負どころがわかりやすくなります。「ここでとどめを刺されたら、もう苦しいな」とか「ここで息を吹き返したな」といった分岐点が見えると、ハンドボール観戦が楽しくなってきます。
たとえば後半10分6点リードで、相手が攻撃でミスをしました。ボールを奪ってワンマン速攻。ここで決めておけば、完全に相手の息の根を止められるという場面です。しかしここでシュートを止められてしまうと、その後の展開がややこしくなります。
また前半8-4とリードしている場面でディフェンスが頑張り、相手をパッシブプレー寸前まで追い込みました。ところが相手エースの苦し紛れに打ったシュートが入って、8-5になりました。こうなると楽勝ムードは吹っ飛び、もつれた試合になっていきます。土壇場でエースの得点を許したばかりに、相手を勢いづかせてしまったのです。
試合の分岐点が見えてくると、そこで決めている選手が誰なのかもわかります。大事なところで決めるのは、いつも10点取っているエースとは限りません。4~5点しか取らないけども、大事なところで必ずと言っていいほど得点を決める選手がいるものです。そういう勝負の責任を背負える選手に注目してください。日本リーグなら岸川英誉(大同特殊鋼)、植垣健人(大崎電気)、東濱裕子(オムロン)、横嶋かおる(北國銀行)、勝連智恵(オムロン)が勝負強いと言われています。
久保弘毅