カテゴリー: ハンドボール観戦

  • この選手が凄い! その5 田口舞(飛騨高山ブラックブルズ岐阜)

    この選手が凄い! その5

    田口舞(飛騨高山ブラックブルズ岐阜)

    田口舞
    田口舞

    【下のボールに強い】
     日本リーグのGKでは小柄な部類に入る。ハイコーナーが苦手なのは、誰もが知っている。田口自身もハイコーナーにナーバスになっていた時期があった。しかし今は割り切りを覚えて、最大の長所である「下のボールへの強さ」で迷いなく勝負できている。対戦相手も「田口は下が強い」とわかっているはずなのに、ついつい下に打ってしまう。
     スライディングの巧さはリーグ屈指で、ギリギリのコースに身体ごと投げ出し、シュートを防ぐ。足だけでなく、身体ごとボールに近づいていく動きは、中高生のいいお手本。カカトから無理なく滑って、最後まで面を崩さない。

    【柔らかさと俊敏性の両立】
     スライディングが上手なのは、柔軟性があるから。いつも講習会では柔軟体操の見本を見せて、中高生を驚かせる。180度開脚したまま、上体を床にペタンと着けられるくらい、股関節が柔らかい。その気になれば、頭よりも高い位置につま先を振り上げることもできる。
     ぐにゃぐにゃと柔らかいだけでなく、股関節からスパッと腿を引き上げることができる。
    股関節の瞬発力は、ラダートレーニングで鍛えてきた。細かい足さばきを早く正確に繰り返すことで、細かいステップからのダイナミックな動きにつなげてきた。さらには「GKは手と足と別々の動きが求められるから」と、ラダーをしながら手で物を扱う独自のトレーニングを開発している。

    【人柄のよさ】
     教え上手で面倒見がいいから、講習会ではいつも人気者。しっかりと言葉で説明できる聡明さがある。ファンへの対応も親切丁寧。根本に、人に対する優しさが感じられる。
     ハンドボールの世界では「GKは変わり者が多い」と言われるが、いたってノーマルな常識人。あえて言うなら「性格がよすぎて変わり者」のタイプなのかも。同じ系列では飛田季実子(ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング)、高森妙子(広島メイプルレッズGKコーチ)などがいる。
    得点力不足のチームでも、気持ちを切らすことなく、同じGKの菊池麻美とタッグを組みながら、チームを勝利に導く。速攻の得点源だった比嘉桃子が引退したので、新たなホットラインも構築したい。田口が止めて、比嘉桃が走って1点のような、みんなが盛り上がれるパターンを作れるか。

    田口舞選手は今シーズンのmelis契約選手です。

    久保弘毅

  • Kempa対決 2018

    本日、10月6日は13時より 名古屋市中村スポーツセンターにてKempa(ケンパ)のユニフォームを着たチームの直接対決が行われます。
    大同特殊鋼 VS トヨタ車体
    土足可なのでお近の方は是非。

    中村スポーツセンター
    名古屋市中村区中村町字待屋43-1
    052-413-8021
    地下鉄東山線中村日赤駅から徒歩5分
    土足可
    googleマップ

  • チームの見どころ2018 【広島メイプルレッズ】昨年度女子準優勝

    チームの見どころ

    【広島メイプルレッズ】昨年度女子準優勝

    【チームの戦い】
    3年間チームを率いた金明恵監督が、男子のトヨタ紡織九州の監督になった。代わりに初めて女子を指導する中山剛監督が就任した。監督が変わり、メンバーも大幅に入れ替わって臨む1年になる。2位から優勝を狙うための陣容刷新ではなく、色々と未知数な部分が多いのが正直なところ。中山監督が就任して間もない5月の社会人選手権は完全に「手探り」だったが、9月の国体では決勝に進出するなど、リーグ開幕へ向けて状態は上向き。まずは上位4つに入って、プレーオフ出場を。今年のメンバーで四強に入れば、大きな自信になる。

    【予想布陣】
    LW:石川(石田)
    LB:三田(木村)
    CB:木村(眞継)
    RB:眞継(門谷)
    RW:門谷(三橋)
    PV:角屋(堀川、近藤)
    GK:板野(中村)

    6:0DF

     得点王の李美京、ポストでリーグ最高の攻撃力を誇った高山の2人がいなくなった。攻撃のホットラインがなくなったと言われる一方で、2人だけで独占していたボールをチーム全体でシェアできると見る向きもある。チーム唯一の左利き・キャプテンの門谷を右バックで使うか、本来の右サイドで使うかも含めて、最適の布陣が決まるのはシーズンが深まってからになりそう。
     得点力不足が懸念されるので、これまで以上にDFに活路を見出だしたい。日本代表で研鑽を積むGK板野がいて、真ん中の角屋、堀川にはサイズがある。石川と門谷の両2枚目は運動量が豊富で、サイズ以上の存在感を示す。GK板野のスローイングがよくなれば、守って速攻で楽に得点できる機会が増える。

    【人事往来】
    IN
    三橋(東京女子体育大)
    木村(大阪体育大)
    近藤(大阪体育大)
    狩野(大阪教育大)
    井内(岩国商)
    田渕(華陵)
    OUT
    高森(コーチ専任に)
    高山(引退)
    李美京(未定)
    村田(引退)
    國廣(引退)

     三橋、木村、近藤の3人には即戦力の期待がかかる。三橋は佼成女子、東京体育大でキャプテンを務めたカリスマ性のある選手。小さくても気の利くDFで、チームを鼓舞する。近い将来のリーダー候補としても期待が大きい。木村は大学時代こそケガに泣かされたが、攻撃力は一級品。センターもしくは左バックで、開幕から出場時間をもらえそう。近藤は小さなポストだが「ハンドボールを分かっている」と、首脳陣の評価が高い。

    【指揮官】

    中山監督
    中山監督

    中山剛監督
     広島のハンドボール界の顔とも言うべき存在。湧永製薬のエースであり、日本代表のエースだった。引退後は湧永の監督を二度務め、代表のコーチ経験もある。これまでずっと男子を見てきたので、女子の指導は初めて。漢気の人で、余計な口出しはせずに、選手を見守るのが特徴だったが、メイプルの監督になってからはこまめに声をかけているという。湧永出身者らしく、フリーOFにこだわりを持つ。約30年間変わらないリーゼントと、黒いスーツでビシッと決める姿は、一度見たら忘れられない。

    【キープレーヤー】

    門谷
    門谷

    門谷舞
     ハンドボールへの取り組みのよさは、以前から高い評価を受けていた。入社5年目の今年から、満を持してキャプテンに。右サイドでも2枚目が守れて、攻守に体を張れるのが持ち味。日本代表には縁がないが、代表クラスの実力を有する。
     60分間コートに立ち続けて、攻守両面でチームにプラスをもたらす選手なのだが、5月の社会人選手権では、これまで決めていたはずの決勝シュートを外してしまうなど、ちょっと気負っているようにも見えた。キャプテンでバックプレーヤーも兼ねてと、これまで以上に背負うものが増えたのが原因か。しかしクレバーな選手なので、自分の役割を整理できれば、本来の勝負強さを取り戻すだろう。1試合10点を取るタイプではないが、勝負の節目に必ず絡んでくる。

    【この技を見よ!】

    石川
    石川

    ・石川紗衣のDF
    1枚目を守っている時は、ごく普通の新人選手だった。ところがシーズン途中から2枚目を守るようになって、頭角を表わした。嫌らしい位置に立ち、こまめに牽制を入れてくる。1人で2人を守れる勘のよさで、チームに欠かせない戦力となった。
    2枚目DFの原点は、大分鶴崎高時代にさかのぼる。梶原健監督が「俺は信頼しているヤツにしか2枚目を任せない」と言って、石川に2枚目DFの技術を教えたという。左サイドの石川、右サイドの門谷の2人ともが2枚目を守れるDF力があるのは、メイプルのストロングポイント。他のチームにはない、大きな武器である。

    広島メイプルレッズは2018年度、Kempaのユニフォームで戦います。

    久保弘毅

  • チームの見どころ2018 【トヨタ車体】昨年度男子準優勝

    チームの見どころ

    【トヨタ車体】昨年度男子準優勝

    【チームの戦い】

     香川新監督の新体制で臨んだ昨年は、いい戦いをしながらも、金メダルには届かなかった。それでも吉野、杉岡、GK岡本大と新人3人が大当たりで、チームは大幅に若返った。その年のナンバーワンではないけど、地味に「いい選手」を獲って育てるチームカラーに、吉野や杉岡といった「誰が見ても一級品」の素材が加わり、化学反応が起こりつつある。今年はそろそろ「永遠のシルバコレクター」を卒業したい。

    【予想布陣】

    LW:杉岡(藤本)

    LB:吉野(石戸、津屋)

    CB:木切倉(門山、玉城、津屋)

    RB:高智(渡部、熊谷、門山)

    RW:渡部(内海、冨永)

    PV:菅野(笠原、岡元竜)

    GK:甲斐(加藤、岡本大)

    6:0DF

     プレータイムを分け合いながら、勝利と育成を両立させるのが、酒巻清治監督(現テクニカル・ディレクター)時代からのよき伝統。吉野や杉岡を1年目からコートに立たせて、チームの中心に育て上げた。それができるのも、ベンチに控える門山がいつでも試合を立て直してくれるから。門山、木切倉、津屋といった展開力のある選手が状況を打開してくれるので、石戸や高智、熊谷といった一芸を持った選手も生きてくる。

     泣きどころは今年もポストか。ポストの得点力が上がらないと、セットOFで手詰まりになってしまう。攻撃の流れだけを考えたら、フィジカルと戦術理解のある門山をポストにするのも面白いのでは? 2対2の理屈をわかっているポストが1枚いれば、攻撃が停滞する時間帯を減らせるかもしれない。

    【人事往来】

    IN

    なし

    OUT

    藤田(引退)

     昨年は大物新人3人を補強したので、今年の採用はなし。現有戦力のレベルアップに期待するしかない。

     ベテランのポストで、現役復帰していた藤田が、正式に引退。2対2の理屈を知っていて、守っては3枚目でリーダーシップが執れて、5:1DFのトップもできた藤田の存在は大きかった。富田(恭介・現中部大監督)と藤田の真ん中で、トヨタ車体は強くなった。富田と藤田の「次」を早急に確立しないと、6:0DFなのに真ん中でやられる悪循環が、いつまでたっても改善しない。

    【指揮官】

    香川将之監督

     理にかなったフリーOFと、オーソドックスな6:0DFをベースにしながら、前任者の酒巻監督よりも攻守に選択肢を増やして、ゲームをデザインする。就任1年目の昨シーズンは無冠に終わったが、随所に「これまでの車体とは違うな」という印象を残した。フリーOFだけに頼らず、要所の得点をフォーメーションで取り、ゲームを落ち着かせている。6:0DFのマークミスから真ん中で崩される「悪しき伝統」を立て直すために、5:1DFや4:2DFといったオプションを用意した。王道の戦い方だけに固執せずに、相手との駆け引きができる選択肢を増やしたあたりは、クレバーな判断だった。チームとしても、個を伸ばす実績は充分。あとは金メダルをどれだけ獲れるか。大事な試合の競った場面で、香川監督がどういう札を切るか。

    【キープレーヤー】

    渡部仁

     国際大会で最も頼りになる男、ジン・ワタナビー。中東圏では「ワタナベ」と発音するのが難しいらしく、現地のアナウンサーは「ワタナビー」と連呼する。これまでも世界を相手に高確率のサイドシュートを決めてきたが、近年は「攻守のバランス」を模索するダグル・シグルドソン監督のもと、代表で右バックに入る時間帯が増えてきた。攻撃では左利きの2ポジションでプレーし、守っては右の2枚目で相手のエースを封じる。右側のポジションのバランスを整える役割で、これまで以上に重宝されている。

     バックプレーヤーに入るのは「高校の時以来」らしいが、回り込んでのミドルが打てる右サイドだったから、ディスタンスシュートはお手の物。クロスの動きも軽快で、真ん中から少し左側に流れたミドルもよく決まる。もちろん本職のサイドでも、近め、遠め、ループと的確に打ち分け、8割前後の確率で決め切る。

     非常に意識が高く、国際試合で経験を積むたびに成長している。「門山さん(哲也・トヨタ車体)のように、しっかりと体を作って、理にかなったハンドボールができれば、長く代表でもプレーができる。僕は2024年まで代表で活躍したい」と言う。多くの選手が2020年をゴールに見据える中、目指すところが違う。

    【この技を見よ!】

    ・杉岡尚樹のループシュート

     人とは違うメカニズムが興味深い。多くの選手が、ループでは腕の力を抜こうとする。下手な選手だと、折りたたんだ腕をヒョイとつき出すだけの動きになってしまう。しかし杉岡は内ひねりをかけながら、右腕を突き上げる。天井にスクリューパンチを打ち込むような動きをイメージしてもらうと、わかりやすい。ひねる力を利用したループだから、アーチが高く、最高到達点から急激に落ちてくる。ギリギリまで強打とまったく見分けがつかないし、急激にブレーキがかかって落ちてくる軌道は、抜き球ではなく「縦の変化球」と言っていい。

    「海外の動画を見て覚えた」打ち方らしいが、少なくとも国内で杉岡と同じ打ち方をする選手はいない。唯一無二のループシュートは、お金を払って見る価値あり。会場で見られた人はラッキー。「いいものを見た」と、幸せな気分になれるだろう。

    トヨタ車体は2018年度、Kempaのユニフォームで戦います。

    久保弘毅

  • 第43回日本ハンドボールリーグ Kempaのウェアをご期待下さい。

    今年で43回目となる日本ハンドボールリーグが2018年9月22日に始まります。

    男子が9チーム、女子が9チームある中で、男子の2チームと女子の1チームがKempa(ケンパ)のウェアを着用して頂けることになりました。
    男子昨年2位:トヨタ車体 BRAVE KINGS 様
    男子昨年3位:大同特殊鋼ハンドボール部 Phenix  様
    女子昨年2位:広島メイプルレッズ 様

    上記3チームは下記にて試合を行います。

    9/22(土) 13:00 和光市総合体育館
    トヨタ東日本 − 大同特殊鋼

    9/22(土) 14:00 境港市民体育館
    湧永製薬 − トヨタ車体

    9/22(土) 13:00 OKBぎふ清流アリーナ
    ブラックブルズ − 広島メイプル


    2018年9月21日 大同特殊鋼様の順位を4位と記載がありましたが、正しくは「3位」の間違いです。お詫びをして訂正致します。本文は訂正済みです。
  • 世界No.1 ドイツ代表戦in徳島

    世界No.1 ドイツ代表戦in徳島

    こんばんは!
    店長の蒲です!

    つい先ほどまで行われていた、ハンドボール JAPANCUP2018 日本VSドイツ、、。
    結果はこちら。


    これがハンドボール。
    これが世界一。
    そんなドイツ代表はご存知の方も多く、ウェアは全てKempaですが、来日時の移動着も気になっている方がいたと思います。

    こちらは昨年のクリスマスコレクションである「コーション」の限定カラー。

    ケンパ コーション Tシャツ 2017 2色展開



    限定カラー以外のバリエーションも豊富で、自チームの好きなカラーも選べます。

    ケンパ コア 2.0 Tシャツ 7色展開 2018




    こちらは日本来日の為に特別に作成されたTシャツ。
    未発売商品になりますが、色違いがこちら。

    ケンパ Kロゴ Tシャツ



    さらにトレーニング中にも出てくる三種類のチームウェアがこちら。

    ケンパ コア 2.0 トレーニングトップ 7色展開 2018


    ケンパ コア トレーニングシャツ


    ケンパ ポリー Tシャツ 7色展開 2017



    そして選手個人に注目するとドイツ代表の世界的スーパースターのUwe gensheimerと我らが日本代表で本日の試合最多得点を記録した日本のエース、徳田新之介選手はKempa契約選手です。

    20180613-010
    http://www.kempa-sports.com/de/sponsoring/Uwe-Gensheimer



    両選手とも、

    ケンパ ウィング ライト ホワイト フェアブルー 2018

    を履いていましたね。

    スーパープレーを連発し、日本代表を圧倒したドイツ代表。
    次戦は6/16に東京。


    次はどんなプレーを魅せてくれるのか。
    日本代表は修正し、どこまで闘えるのか。

    楽しみで仕方ありません!

     

  • 遂に”あいつら”が日本にやってくる、、、、!!!

    遂に”あいつら”が日本にやってくる、、、、!!!

    こんばんは!!
    店長の蒲です!!

    全ハンドボールプレーヤー待望の"あの"ドイツ代表""ポーランド代表"がやってきます!!
    今日から複数回に分けて、JAPAN CUP特集として最大限に楽しめるようなものを皆さんに提供していきます!

    まずは、"JAPAN CUP 2018"についてです。

    初めてのJAPAN CUPは1996年に翌年行われる世界男子ハンドボール選手権のプレ大会として開催されました。
    その後は参加国などはその年によって違ったり、開催されない時期もありましたが2018年、ついに"ドイツ代表""ポーランド代表"が日本にやってきます。

    日程と開催場所はこちら。

    ①6月13日 日本代表-ドイツ代表(男子) 18:30~
    徳島県・アスティとくしま

    アスティとくしまへのアクセス方法(アスティとくしま公式HPより)
    http://www.asty-tokushima.jp/koutsuu/

    チケットはこちら(日本ハンドボール協会様より)。
    発売開始:2018/5/26(土) 10:00~

    ②6月16日 日本代表-ドイツ代表(男子) 14:00~
    東京都・東京体育館

    東京体育館へのアクセス方法
    http://www.tef.or.jp/tmg/access.jsp

    チケットはこちら(日本ハンドボール協会様より)。
    発売開始:2018/5/26(土) 10:00~

    ③6月23日 日本代表-ポーランド代表(女子) 14:00~
    群馬県・高崎アリーナ

    高崎アリーナへのアクセス方法
    http://www.takasaki-foundation.or.jp/arena/access_index.php

    チケットはこちら(日本ハンドボール協会様より)。
    発売開始:2018/5/26(土) 10:00~

    チケットは会場により、金額や席も変わります。
    詳しくは日本ハンドボール協会様HPをご覧下さい。
    http://handball.or.jp/game/2018/japan_cup.html


    明日からは、ドイツ代表とポーランド代表についてです!

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  • チームの見どころ 【北陸電力】昨年度男子9位

    チームの見どころ

    【北陸電力】昨年度男子9位

    【チームの戦い】
     最下位の常連チームだったが、2018年の福井国体へ向けて、若くて有望な選手を補強。5月の社会人選手権では初戦で湧永製薬に勝ち、日本リーグでも4シーズンぶりの勝ち星をトヨタ車体からあげるなど、地道な強化が実を結びつつある。苦難の時期を乗り越え、ようやくいいチームになってきたので、地元国体が最終目標ではなく、国体以降も強化を続けて、上位に食い込めるチームを目指してほしい。

    【予想布陣】
    LW:久保(成田)
    LB:川島(須坂、竹内)
    CB:銘苅(竹内、池上)
    RB:藤坂(宮田、須坂)
    RW:松島(高森)
    PV:中山(新谷、大橋、小川)
    GK:岩永(矢作)

    3:2:1DFと6:0DF

     各ポジションに特色の違う選手が揃い、不動の7人が匠の技を見せていた以前からは想像もつかないほど、選手層が厚くなった。本来ならキャプテンの須坂がエースでDFの要になってほしいが、コンディションが上がらずDF専門になっている。それでも須坂の穴を感じさせないくらい、バックプレーヤーの頭数が増えた。あとは時間の配分と、攻守のバランスが問題か。
     藤坂がトップの3:2:1DFと、6:0DFを使い分ける。トップDFで最高の動きを見せる藤坂が、6:0DFの2枚目に入ると持ち味が消えていたため、シーズン途中から藤坂を3枚目にコンバート。経験のある銘苅と須坂ではさんで、藤坂を自由に動かすシステムが機能しつつある。6:0DFから3:2:1DFへの変化もしやすい配置なので、北電の新たな強みにもなりそう。

    【人事往来】
    IN
    手塚(北陸高)
    矢作(日本体育大)
    大橋(日本体育大)
    久郷(名古屋文理大)
    竹内(アイスランド)
    川島(早稲田大)
    銘苅(スペイン)
    OUT
    切越

    横川

     大量補強の目玉は、地元出身の川島。1年目から絶対的なエースになった。手塚は藤坂とともに、親子二代で北陸電力の一員。2人とも父親と同じ番号を背負う。竹内、銘苅とヨーロッパ帰りの2人が、攻守に強さをもたらし、選手層はかなり分厚くなった。
     逆立ちや側転セーブなどで人気者だったGK辻(旧姓川添)と、スピードのある1対1が持ち味だった切越は、惜しまれながら引退。2人ともまだ20代後半だったが、チームはさらに若返っている。

    【指揮官】
    前田亮介監督
     現役時代はセンター。監督になってからは戦術をよく落とし込んで、若いチームを立て直している。ターゲットを絞って、一発勝負に勝つのが上手。昨年5月の社会人選手権で湧永製薬に勝った時は、まさしくそういう試合だった。次なるターゲットは、今年の福井国体。その過程での日本リーグでも2勝するなど、地力はついてきた。銘苅、竹内と強い選手が増えたし、リーグトップクラスの筋トレの環境もあるので、もう少しフィジカルの強さを全面に押し出してもいいのでは?

    【キープレーヤー】
    川島悠太郎

    川島悠太郎
    川島悠太郎

     非常に思慮深い青年。その気になれば強豪にも入れる実力を持ちながら、将来の仕事などを考慮して、地元の北電を選んだ。試合前は人と群れずに、自分のための準備に専念する。試合になれば、間にはまって打ったり、DFの陰を利用するなど、説明のつくシュートを打つ。1年目から黙々と点を取り、背中で引っ張る姿は、北電史上最高のエースだった神田友和(前監督)を思わせる。
     いい意味で体育臭くなく、たどってきた経歴からも人間的な深みを感じさせる。自分で考え、自分で選択して、自分の人生を形作っていけるであろう好青年。彼のような選手が増えれば、色んな意味で日本のハンドボールのレベルが上がるはずだ。

    【この技を見よ!】
    竹内功の強さ

    竹内功
    竹内功

     中部大インカレ優勝時のエースは、大学までは「当たるのが苦手だった」と言う。しかし卒業後にアイスランドでプレーしてから、知らないうちに当たりの強さを身につけて、日本に戻ったら守れる選手になっていた。センターができて、2枚目が守れる選手がいると、攻守のバランスが非常によくなる。銘苅と竹内、どちらがセンターで出ても、守りでもプラスになるのが心強い。
     HC名古屋のスクール出身で、姉はHC名古屋の竹内里奈。男子の試合が休みの時は地元に戻って、姉の試合をノリノリで応援する。お姉さん思いの、いい弟でもある。

    久保弘毅

  • チームの見どころ 【大阪ラヴィッツ】今年度から新規加入

    チームの見どころ

    【大阪ラヴィッツ】今年度から新規加入
    http://lovvits.jp/

    【チームの戦い】
     ハンドボールどころ大阪に誕生した待望のクラブチーム。午前中に練習して、午後から勤務という、他とは異なる練習環境で日本リーグに挑戦している。リーグ加盟1年目とはいえ、田中、儀間らソニーのベテラン組に、元オムロンで日本代表のエースだった藤井がいるので、チームの形はしっかりしている。ツイッターでの情報発信の面白さはリーグ随一。

    【予想布陣】
    LW:田中(中久保、松澤)
    LB:古川(田中)
    CB:儀間(田中)
    RB:藤井(永塚、水田)
    RW:松澤(永塚、森)
    PV:中久保(川﨑、田中)
    GK:泉(齋藤)

    6:0DF

     母校の大阪宣真高に戻って教員をしていた藤井が、リーグ戦途中から現役復帰。日本歴代最高の左腕が加わったことで、ロングシューター不在の問題が解決した。チーム事情で右バックをやっていた永塚を、本来の右サイドに回せるようになったし、田中と儀間の「匠の技」だけでは限界があったので、藤井の加入は大きなプラス。あとは左バックの古川が安定して点を取ってくれれば、攻撃のバランスは整う。速攻のスピードは上位にも引けを取らないので、チーム全体でセットの得点力を上げていきたい。
     とはいえ、生きる伝説・田中がサイドやポストも兼ねるなど、選手層は決して厚くない。DFの要・川﨑は手術からの復帰待ち。学生時代に実績のある水田、森がケガから戻ってくれば、攻守に幅が広がるのだが。DFの真ん中で健闘する石田、両サイドで地味に働く松澤に続く若手が出てくるか。

    【人事往来】
    IN
    古賀(関西大)
    岩佐(東京女子体育大)
    森(大阪体育大)
    藤井(宣真高教員)
    平田(四天王寺高)

    OUT

     現時点では、力はやや落ちるけど、やる気のある新人を優先して獲得している。いずれは認知度を高めて、大阪の有望選手を獲れるようになれば、長期的なビジョンが立てやすくなる。
     地元の理解という意味では、宣真高のコーチをしていた藤井の現役復帰と、四天王寺高3年生の平田の途中加入は、素晴らしいできごと。「オール大阪」を作っていこうという気概が感じられる。
    森は大体大ではケガもあって出番に恵まれなかったが、氷見高で鍛えられたクレバーな選手。ポスト、サイド、センターと、足りないところをそつなく埋める力があるので、ケガからの復帰が望まれる。

    【指揮官】
    中村博幸監督
     ラヴィッツ初代監督は、大阪協会の会長補佐。大阪人らしいユーモアを交えた語り口で、できたてのチームを育成している。午前中だけという限られた時間で、どうやってチームを強くしていくか。「できるまで、やれ!」ができない環境でのアプローチに注目。

    【キープレーヤー】
    儀間晴香

    儀間晴香
    儀間晴香

     とにかく巧い。ソニー時代は1対1のフェイントに特化した選手だったが、ラヴィッツに移籍してからは、ありとあらゆる引き出しを開けて点を取る選手に進化した。難しいプレーも難なくこなし、ソニー時代から師と仰ぐ田中美音子とのコンビネーションは阿吽の呼吸。かつての田中美音子&張素姫(元韓国代表、現富士大監督)の域に近づいてきた。 
    とはいえ儀間の難しいプレーが増えるのは、チームの得点が伸び悩んでいる証拠でもある。藤井紫緒という日本最高峰のロングシューターが入ってきたので、藤井の力を借りて、もっと楽に点を取れるようになれば、チームの白星も増える。

    【この技を見よ!】
    藤井紫緒のロングシュート

    藤井紫緒
    藤井紫緒

    日本女子史上最高のロングシューター。男前すぎる腕の振りは、今も衰えていない。右手を素早く引きつけることで、左腕のスイングを生み出すメカニズムは、野球のピッチャーと同じ。クロスからのロングは、わかっていても止められない。7mスローを打つ前に、ボールにキスする姿もかっこいい。(写真は日本代表時代のもの)

  • チームの見どころ 【飛騨高山ブラックブルズ岐阜】昨年度女子7位

    チームの見どころ

    【飛騨高山ブラックブルズ岐阜】昨年度女子7位

    【チームの戦い】
     ぎふ清流国体のチーム(HC高山)からスタートし、日本リーグに加盟してからもDF重視のチーム作りで、毎年着実に成果を残してきた。しかし初のプレーオフ進出を目指した昨シーズンは、深刻な得点力不足に泣かされ、最下位に沈んだ。チームの柱だった廣田(旧姓柴田)、中村らが抜けた今シーズンは再建の年になりそう。「最高の国体チーム」から「末永く戦えるクラブチーム」へ、方向転換が求められる。

    【予想布陣】
    LW:比嘉桃
    LB:金恩恵(友野)
    CB:宮崎(松本、比嘉美)
    RB:和田(岸本、日下石)
    RW:山中(比嘉美)
    PV:陣野(佐伯)
    GK:田口(菊池)

    6:0DFと5:1DF他

     かつては4:2DFや3:3DFなど他のチームにはない引き出しで、ロースコアの接戦に持ち込んでいた。DFの時間が長くなればなるほどブルズのペース。若返った今シーズンは、例年ほどのバリエーションが見られない。
     勝つとしたら、GKの田口が止めまくって、エースの金恩恵が10点近く取るしかないのが現状。宮崎のミラクルシュートや、大型左腕・岸本の2次速攻でのロングなどもあるが、過度の期待は禁物。現時点では10点台のロースコアの試合運びに徹するしかない。

    【人事往来】
    IN
    佐伯(福岡大)
    中島(東京女子体育大)
    池之端(引退後、コーチから復帰)

    OUT
    廣田(引退)
    中村(引退)
    舩坂(引退)
    田中(引退)
    松本(引退)

     球回しの起点だった廣田、変則DFの切り札だった中村が抜けた。ブルズの象徴とも言うべき2人の穴は大きい。廣田の代わりは宮崎、中村の代わりは山中と、それぞれに後継者はいるものの、前任者と比べると少々物足りない。特に変則DFの切り札だった中村のような「1人で2人を守る」選手が、1人でも多く出てきてほしい。小さくても動けて勘のいい中村は「DFのブルズ」の象徴だった。
    日本代表候補にも選ばれた大型サイド田中の引退は予想外。次代のブルズを背負える逸材だっただけに、わずか2年間で終わるのはもったいなかった。
     新人ではポストの佐伯の出番が多くなっている。フィジカルの強さがあるので、得点力のあるポストに育つ可能性を秘めている。
     リーグ中断期間の12月に、池之端コーチの現役復帰が発表された。攻守にチームを背負ってきた池之端の復帰が、低迷するブルズの起爆剤になるか。爆発的な得点力のあるタイプではないが、ポストと真ん中のDFで試合を落ち着かせてくれるだろう。

    【指揮官】
    山川由加監督
     元日本代表で、桜花学園高校で監督を務めたのちに、岐阜県の成年女子の監督に就任し、日本リーグに参戦してからも変わらずチームを見ている。田口や比嘉桃は、桜花学園時代の教え子。DFに特化したチーム作りが上手い。「七色のDF」を伝統にしている飛騨高山高校とよく似たスタイルなので、高山市のハンドボール文化にフィットしている。友野とよく似ているが、血縁関係はない。

    【キープレーヤー】

    陣野瞳
    陣野瞳

    陣野瞳
     チームを背負ってほしい大型選手。キャプテン就任1年目の昨シーズンはケガで苦しんだが。今シーズンは攻守にチームを牽引する。攻撃ではポストに入り、守っては真ん中でDFラインを統率する。現役復帰した池之端弥生コーチの助けを借りながら、真の大黒柱に成長してほしい。性格、ビジュアルともに申し分なし。人柄はいいけど、少し引っ込み思案な選手が揃うブルズのイメージを変えるような活躍を。

    【この技を見よ!】

    宮崎亜紀穂
    宮崎亜紀穂

    宮崎亜紀穂のミラクルシュート
    はっきり言って、確率はよくない。ふにゃふにゃとカットインを繰り返すけど、10本打って2本入るかどうか。それでも大事なところで1本決める「星の強さ」を持っている。
    印象に残っているのが、2年前のリーグ終盤の三重戦。エースの金恩恵が負傷して、最大5点ビハインドという絶体絶命のピンチに出てくると、要所でミドルを決めて引き分けに持ち込んだ。この試合で三重はプレーオフ進出を逃し、ブルズはプレーオフに望みをつないだ(最終的には5位で、プレーオフ進出はならなかったが)。
    徹底マークされると苦しいものの、宮崎の1点は特別な1点。チームの盛り上がりが違う。

    久保弘毅