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チームの見どころ2018 【大同特殊鋼】昨年度日本リーグ男子3位

チームの見どころ

【大同特殊鋼】昨年度日本リーグ男子3位

【チームの戦い】
 昨年は東江と朴重奎の2対2に頼りっぱなしだったが、シーズン途中に韓国から尹時烈が加わりパワーアップ。プレーオフでは1勝のみに終わったが、短期決戦に強い大同の雰囲気が戻ってきた。伝統のチームワークと堅いDFをベースに、得点のバリエーションが増えれば、タイトル奪還も現実味を帯びてくる。

【予想布陣】
LW:久保龍(千々波、石橋、吉田)
LB:尹時烈(東江)
CB:東江(藤江、原田)
RB:池辺(斎藤)
RW:平子(杉本)
PV:朴重奎(加藤、伊藤、瀧澤)
GK:久保侑(田中、友兼)

5:1DF

 伝統の5:1DFは、そろそろ「次」を用意しておきたいところ。トップの千々波が元気なうちに、リーチの長い後継者を作っておきたい。長身の吉田が候補になるか。フルバックも朴重奎がいるが、攻守の切り替えが遅くなると、大同の十八番である「堅守速攻」が出せなくなる。5月の社会人選手権では、朴重奎がケガした時間帯にフルバック千々波で乗り切った。トヨタ紡織九州のような走り勝ちたいチームが相手なら、フルバックに千々波を置いたスモールラインアップが効果的かもしれない。
 攻撃では左腕・池辺が一本立ちできるかどうかがポイント。尹時烈、東江、藤江の右利き3枚でバックプレーヤーをやっても悪くはないが、池辺が右バックに入った方が攻守にバランスが整う。尹時烈が昨年以上にフィットすれば、東江がより「打てるゲームメイカー」として機能する。相手がプレスDFを仕掛けてくれば、4人目のバックプレーヤー藤江が、広いスペースを切り崩してくれる。

【人事往来】
IN
友兼(日本体育大)
斎藤(国士舘大)
OUT
野村(引退)
東(引退)
上原(引退)

 左利きとGKが抜けて、そのポジションを新人で補強した。勝負強かった野村の穴は、そう簡単には埋まらない。左利きで、決して器用ではないけどしぶとく、チームのために汗を流せる男だった。タイトルのかかった試合では、必ずと言っていいほどクロスからのロングを決めて、チームを救ってきた。野村と同じ役割を、いきなり新人の斎藤に求められないが、池辺と2人で右バックのポジションを埋めていけたら。
 GK兼コーチだった東も、勝負強さと雄叫びで、長年チームを支えてきた。友兼は東よりもさらに小柄だが、瞬発力があって、学生時代からキャリアを積んできたGK。メインの久保侑が当たらない日に、短時間でインパクトを残してくれると、チームも盛り上がる。

【指揮官】
岸川英誉監督

岸川監督
岸川監督

 玄人好みなマルチプレーヤーだった現役時代と同様、監督になってからも丁寧にチームを作っている。地道にベンチメンバーを強化し、藤江や伊藤らを効果的に使う采配は、見ていて面白い。今年は首の大ケガから復帰したキャプテン・加藤をどう起用するかが見もの。選手の持ち場を上手に作り、信頼してコートに送り出すなど、モチベーターとしても優秀。「短期決戦に強い大同」の雰囲気を取り戻しつつある今シーズンは、日本選手権とプレーオフの2冠奪還を目指す。

【キープレーヤー】
加藤嵩士

加藤
加藤

 本当なら日本代表の正ポストになっていたはずの人物。人柄がよく、意識も高く、当たり負けない強さがある。まさに頼れる大男だったのだが、昨年は頸椎のケガで丸一年を棒に振った。加藤がいなかったから、朴重奎がフル出場せざるをえなくなり、昨年は攻守の切り替えが鈍くなった。加藤が元気なら、朴重奎もフレッシュな状態でコートに立てて、相乗効果が見込める。
 まだ無理は禁物だが、いずれはポストの得点力不足に泣いている日本代表にも復帰してほしい選手。がっちりと位置を取ることもできれば、ライン際で意外な器用さを見せることもある。根っからのリーダータイプではないが、内定選手時代から「強い大同」を肌で感じながら育ってきた。一体感と勝利のメンタリティを次世代に伝える。

【この技を見よ!】
・東江雄斗の美しいハンドボール

東江
東江

 昨年12月に韓国代表の尹時烈がチームに加わった時に、最も喜んでいたのが東江だった。「尹時烈、朴重奎で2対2をやれば、黙っていてもDFが寄ります。そうすると僕の使えるスペースが広くなるから、楽ですよね」。シーズン前半は朴重奎との2対2でしか点が取れずに苦労していた。狭いスペースを無理やりドリブルで抜けていたのが、今では広いスペースで無理なく勝負できる。理にかなったプレーがしたい東江にとって、最適環境が整った。
 スペースを理解して、オーソドックスなプレーを選択するのが、センター東江の基本スタイル。それでいて勝負の際には沖縄独特のトリッキーな飛び道具も用意されている。勝負どころでの左手のシュートは「自然と出た」もの。最初から「やってやろう」と色気を出すのではなく、とっさの場面での選択肢が人よりも豊富で、なおかつ魅せるレパートリーが最後まで残っている。スペースと位置取りをより深く理解して、世界でも通用する「打てるセンター」に育ってほしい。

大同特殊鋼は2018年度、Kempaのユニフォームで戦います。

チームの見どころ2018 【トヨタ車体】昨年度男子準優勝

チームの見どころ

【トヨタ車体】昨年度男子準優勝

【チームの戦い】

 香川新監督の新体制で臨んだ昨年は、いい戦いをしながらも、金メダルには届かなかった。それでも吉野、杉岡、GK岡本大と新人3人が大当たりで、チームは大幅に若返った。その年のナンバーワンではないけど、地味に「いい選手」を獲って育てるチームカラーに、吉野や杉岡といった「誰が見ても一級品」の素材が加わり、化学反応が起こりつつある。今年はそろそろ「永遠のシルバコレクター」を卒業したい。

【予想布陣】

LW:杉岡(藤本)

LB:吉野(石戸、津屋)

CB:木切倉(門山、玉城、津屋)

RB:高智(渡部、熊谷、門山)

RW:渡部(内海、冨永)

PV:菅野(笠原、岡元竜)

GK:甲斐(加藤、岡本大)

6:0DF

 プレータイムを分け合いながら、勝利と育成を両立させるのが、酒巻清治監督(現テクニカル・ディレクター)時代からのよき伝統。吉野や杉岡を1年目からコートに立たせて、チームの中心に育て上げた。それができるのも、ベンチに控える門山がいつでも試合を立て直してくれるから。門山、木切倉、津屋といった展開力のある選手が状況を打開してくれるので、石戸や高智、熊谷といった一芸を持った選手も生きてくる。

 泣きどころは今年もポストか。ポストの得点力が上がらないと、セットOFで手詰まりになってしまう。攻撃の流れだけを考えたら、フィジカルと戦術理解のある門山をポストにするのも面白いのでは? 2対2の理屈をわかっているポストが1枚いれば、攻撃が停滞する時間帯を減らせるかもしれない。

【人事往来】

IN

なし

OUT

藤田(引退)

 昨年は大物新人3人を補強したので、今年の採用はなし。現有戦力のレベルアップに期待するしかない。

 ベテランのポストで、現役復帰していた藤田が、正式に引退。2対2の理屈を知っていて、守っては3枚目でリーダーシップが執れて、5:1DFのトップもできた藤田の存在は大きかった。富田(恭介・現中部大監督)と藤田の真ん中で、トヨタ車体は強くなった。富田と藤田の「次」を早急に確立しないと、6:0DFなのに真ん中でやられる悪循環が、いつまでたっても改善しない。

【指揮官】

香川将之監督

 理にかなったフリーOFと、オーソドックスな6:0DFをベースにしながら、前任者の酒巻監督よりも攻守に選択肢を増やして、ゲームをデザインする。就任1年目の昨シーズンは無冠に終わったが、随所に「これまでの車体とは違うな」という印象を残した。フリーOFだけに頼らず、要所の得点をフォーメーションで取り、ゲームを落ち着かせている。6:0DFのマークミスから真ん中で崩される「悪しき伝統」を立て直すために、5:1DFや4:2DFといったオプションを用意した。王道の戦い方だけに固執せずに、相手との駆け引きができる選択肢を増やしたあたりは、クレバーな判断だった。チームとしても、個を伸ばす実績は充分。あとは金メダルをどれだけ獲れるか。大事な試合の競った場面で、香川監督がどういう札を切るか。

【キープレーヤー】

渡部仁

 国際大会で最も頼りになる男、ジン・ワタナビー。中東圏では「ワタナベ」と発音するのが難しいらしく、現地のアナウンサーは「ワタナビー」と連呼する。これまでも世界を相手に高確率のサイドシュートを決めてきたが、近年は「攻守のバランス」を模索するダグル・シグルドソン監督のもと、代表で右バックに入る時間帯が増えてきた。攻撃では左利きの2ポジションでプレーし、守っては右の2枚目で相手のエースを封じる。右側のポジションのバランスを整える役割で、これまで以上に重宝されている。

 バックプレーヤーに入るのは「高校の時以来」らしいが、回り込んでのミドルが打てる右サイドだったから、ディスタンスシュートはお手の物。クロスの動きも軽快で、真ん中から少し左側に流れたミドルもよく決まる。もちろん本職のサイドでも、近め、遠め、ループと的確に打ち分け、8割前後の確率で決め切る。

 非常に意識が高く、国際試合で経験を積むたびに成長している。「門山さん(哲也・トヨタ車体)のように、しっかりと体を作って、理にかなったハンドボールができれば、長く代表でもプレーができる。僕は2024年まで代表で活躍したい」と言う。多くの選手が2020年をゴールに見据える中、目指すところが違う。

【この技を見よ!】

・杉岡尚樹のループシュート

 人とは違うメカニズムが興味深い。多くの選手が、ループでは腕の力を抜こうとする。下手な選手だと、折りたたんだ腕をヒョイとつき出すだけの動きになってしまう。しかし杉岡は内ひねりをかけながら、右腕を突き上げる。天井にスクリューパンチを打ち込むような動きをイメージしてもらうと、わかりやすい。ひねる力を利用したループだから、アーチが高く、最高到達点から急激に落ちてくる。ギリギリまで強打とまったく見分けがつかないし、急激にブレーキがかかって落ちてくる軌道は、抜き球ではなく「縦の変化球」と言っていい。

「海外の動画を見て覚えた」打ち方らしいが、少なくとも国内で杉岡と同じ打ち方をする選手はいない。唯一無二のループシュートは、お金を払って見る価値あり。会場で見られた人はラッキー。「いいものを見た」と、幸せな気分になれるだろう。

トヨタ車体は2018年度、Kempaのユニフォームで戦います。

久保弘毅

この選手が凄い! その2 吉野樹(トヨタ車体)

この選手が凄い! その2

吉野樹
吉野樹

吉野樹(トヨタ車体)

【腕の振りが独特】
ヒジを真っすぐ伸ばした、ちょっと古典的な腕の振り。昔ながらの「ヒジを伸ばして、相手から遠い位置でボールを保持する」ような投げ方をする。野球の言葉で言えば「アーム式」の投げ方。吉野自身は「『バッティングセンター』って言われるんですよね」とぼやく。
しかし、吉野の動きをよく見てほしい。一見ヒジが伸びたまま投げているようだけど、肩甲骨を柔らかく使えているから、いいシュートが打てる。トヨタ車体の山本充伺トレーナーは「吉野の肩甲骨の使い方は、野球やハンドボール等、すべての投げる競技の人のお手本になる」と絶賛している。「アームだからダメ」ではなく、これが吉野にとって「快適に腕が振れる方法」。なかなか真似ができないオリジナルの技である。

【コントロールがいい】
 大きめのテークバックから、GKをよく見て、コースに打ち分ける。野球のたとえが続いて恐縮だが、同じ様な投げ方で思い出されるのが、長年中日のリリーフ陣を支えてきた岩瀬仁紀。岩瀬も一見アーム式の投げ方だが、スライダーをきっちりとコントロールできたから、40歳を過ぎてもなお現役で活躍できている。ハンドボールで言えば、元日本代表女子の早船愛子(元三重ほか)も同じ様なタイプ。左腕が伸びたまま回しているようで、肩甲骨が柔らかく、コースへきちんと打ち分けられていた。
 腕を伸ばしたまま振り回すタイプは、腕の重さを球威に替えられるメリットがあるが、コントロールにばらつきが出やすい。でも吉野は繊細なコントロール技術を持っている。これは間違いなく才能。あとは身体を倒してプロンジョン気味に壁をかわしたり、アンダーハンドでも打てるようになれば、ちょっと手がつけられない。

【チームを背負える】
 入社1年目からトヨタ車体のエースになり、チームの勝敗を背負って打ち続けた。大事な試合でも物怖じすることなく打ち続けた勝負度胸は、称賛に値する。2年目の今年は日本代表にも選ばれ、攻撃で流れを変える役割が期待されている。
本人も認めるように、代表ではまだ当落線上。左の1枚目DFでチームのプラスになれるくらいの守備力がつけば、おのずと出番も増えてくるだろう。攻守のバランスを重視するダグル・シグルドソン監督に「使いたい」と思わせるくらいのトータルバランスを身につけたいところ。トヨタ車体の門山哲也、渡部仁のように、いずれは攻守にチームを背負える男に育ってくれたら。

久保弘毅

この選手が凄い! その1 徳田新之介(ダバシュ・ハンガリー)

この選手が凄い! その1

徳田新之介
徳田新之介
(ダバシュ・ハンガリー)

徳田新之介
徳田新之介

【国際試合に強い】
 学生時代から国際試合に強い選手だった。国内でも活躍するが、海外の10cm、10kg以上大きな相手でも、プレーの質が落ちない。むしろ大きな相手とやる時の方が生き生きしている。日本の選手が不慣れな大型GKへの対応も、十分に心得ている。
筑波大学を卒業後は日本リーグを経ずに、ハンガリーへ渡った。進路を決めるにあたっても「もっと強くなるために、今すぐ海外に行かなきゃ」と、迷いはなかった。選手には伸びるタイミングがある。日本の選手はその時期を逃しがちだが、徳田は旬なタイミングで海外挑戦を選択した。ハンガリーリーグ1部のダバシュで1年間プレーし、次のシーズンの契約を勝ち取っている。

【タイミングを外すシュート】
 身長は179cm。日本人のバックプレーヤーの中でも小柄な部類になる。それでも日本代表でファーストオプションになりうる得点能力を有する。タイミングを外して1歩で打つステップシュートはバリエーションが豊富。わずかな隙を逃さずに打ってくる。7mスローも含めて、大きなGKが相手でも、あっさり決め切る技術と度胸がある。ここ2年ほどでポストパスも上達し、クロスからポストに落とすなど、プレーの幅がさらに広がった。

【1対1で相手を寄せる】
 国際試合で頼りになるのは、ベースにある1対1の強さがあるから。岩国工業伝統の「蛇行(いわゆるオフ ザ ボールの動き)」から始まって、インにアウトに強烈に切り返す。大きい選手をスピードで振り切る「逆ミスマッチ」を作れるのが強み。日本代表でも「徳田が1対1を仕掛けたら、必ずDFを寄せてくれる」と信頼されている。自分が切れ込むだけでなく、周りに広いスペースを作ってあげられるから、セットOFでは欠かせない。 
今後は自分の「寄せる力」を利用して、攻撃全体をクリエイトする能力が求められる。「自分が点を取る時間帯」と「周りに点を取ってもらう時間帯」を60分間で使い分けられるようになれば、日本代表の得点力が上がるはず。1試合で10点を取るのがエースではなく、チームの得点を増やすのが真のエース。そういう感覚を持っている選手なので、今後はさらに「勝利のシナリオを描けるエース」に育ってほしい。

徳田新之介選手は今シーズンのmelis
契約選手です。

久保弘毅

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JAPAN CUP 2018 ハンドボールドイツ代表メンバー

Dortmund, 5. April 2018. Fotoshooting mit der deutschen Handball-Nationalmannschaft der Männer.

2019年にドイツとデンマークの共催で、ハンドボールの世界男子選手権大会(ワールドカップ)が開催されます。その会場の一部となるミュンへンのオリンピアハレ・ミュンへンでノルウェー(2017年の世界選手権2位)と来日前の2018年6月6日(水)に対戦します。その後、日本に向かい、6月13日に徳島で、16日に東京で試合をします。

日本への旅での目標は「再生」「トレーニング」「日本文化を知ること」「チームの精神を強めること」などだそうです。

JAPAN CUP 2018で来日する、ハンドボールドイツ代表のメンバーは下記の通りです。

キーパー
Silvo Heinevetter (Füchse Berlin),
Andreas Wolff (THW Kiel)

フィールド
Uwe Gensheimer (Paris St. Germain/FRA),
Finn Lemke (MT Melsungen),
Patrick Wiencek (THW Kiel),
Tobias Reichmann (MT Melsungen),
Fabian Wiede (Füchse Berlin),
Hendrik Pekeler (Rhein-Neckar Löwen),
Steffen Weinhold (THW Kiel),
Tim Kneule (Frisch Auf Göppingen),
Patrick Groetzki (Rhein-Neckar Löwen),
Kai Häfner (TSV Hannover-Burgdorf),
Evgeni Pevnov (TSV Hannover-Burgdorf),
Julius Kühn (MT Melsungen),
Matthias Musche (SC Magdeburg),
Fabian Böhm (TSV Hannover-Burgdorf),
Niclas Pieczkowski (SC DHfK Leipzig),
Jannik Kohlbacher (HSG Wetzlar),
Paul Drux (Füchse Berlin),
Tim Suton (TBV Lemgo)

ラインネッカーから3名、メルズンゲンから3名、ハノーファーから2名、ベルリンから2名、キールから2名が選ばれています。なんと言っても注目すべきは左サイドのUwe Gensheimer(ウーヴェ・ゲンスハイマー)です。