月別アーカイブ: 2016年5月
ハンドボール選手紹介-2 日本代表男子#5 高智海吏(トヨタ車体)
境高―大阪体育大 31歳 186cm90kg 左利き 右バック・右サイド
■どんな選手?/フィジカルに優れた左利き。身体接触を恐れることなく、大きな相手にも得意のカットインで向かっていく。高1までバスケをやっていたので、ハンドボールのキャリアは浅く、伸びしろを期待され続けてきた。未だに若々しいポカをする時もあるが、ポストパスを出せるようになったし、国際試合での強さは頼もしい限り。ケイン・コスギにも似た男前で人気者。よくも悪くも自己愛の強さが、彼の成長を支えている。
■観賞ポイント/足の指を使って、音もなく静かに切れ込む。ありえないくらいの足首の柔らかさで、少し左側で倒れながらシュートを打ち込む。
■活躍の場/彼のピークはおそらく35歳です。東京五輪で完成形が見られるはず。
久保弘毅
愛知高―愛知大 26歳 187cm95kg 右利き ポスト
久保弘毅
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ハンドボール選手紹介 日本男子代表#1 棚原良(琉球コラソン)
日本男子代表#1 棚原良(琉球コラソン)興南高―日本体育大―大同特殊鋼 28歳 190cm90kg 右利き 左バック
■どんな選手?/
人材豊富な87年生まれの中心選手。「棚原世代」と呼ばれるほど、高校時代から注目を集めてきた。天性の点取り屋で、ロングシュートの威力は国際仕様。大同特殊鋼ではくすぶっていたが、地元の沖縄に戻り、エースらしさを取り戻した。プレースタイルは俺様気質満載でも、ハンドボールには純な男。オルテガ監督からのアドバイスを受け、攻守両面で頼れる選手になるべく研鑽を積んでいる。
■観賞ポイント/大きい相手に対するシュートバリエーション。重力を利用した「しゃくり」など、工夫が感じられる。
■活躍の場/チームの真ん中に置かないと、力を発揮しない選手です。頭ごなしに叱らずに、上手に乗せれば、物凄い力を発揮します。
久保弘毅
ハンドボールの魅力 ー バックプレーヤーのバランスを見る-2
・役割に縛られすぎない
バックプレーヤーで求められる役割(タイプ)を改めて整理しておきましょう。大まかに分けると4種類あります。パスが得意な司令塔(ゲームメーカー)。ロングシュートを打ち続けられる打ち屋。カットインで間を割るタイプ。さらにはファーストオプションにはならないけども、2人目、3人目で攻撃に絡むのが上手なタイプ。オフェンスがスムーズに流れるよう、この4タイプのうちから3人を組み合わせて、流れを変えたい時には違った役割の選手を投入するのです。
しかし若い選手が役割に縛られすぎて、自分のよさを見失うことも多々あります。特に「打ち屋」の役割を意識しすぎると、プレーのバランスが崩れてしまいます。
豊田合成の小塩豪紀は、中京大時代は非常に判断力の優れた選手でした。シュート、パス、カットインのバランスがよく、プレーの選択肢を上手に選べる印象がありました。ところが豊田合成での1年目で「打ち屋」の役割を意識しすぎるあまり、無茶打ちのシュートが増えてしまいました。エースの役割を期待されて、先輩たちからも「1年目だから自由に打っていい」とお墨付きをもらっていたとはいえ、あまりにも強引なシュートが目立ちました。2014年度に得点ランキング2位で最優秀新人賞にも選ばれましたが、「小塩はハンドボールが下手になったんじゃないか?」といった声も聞かれたほどでした。
1年目の反省を踏まえて、2年目に小塩はプレー内容をかなり整理してきました。彼本来のバランスのよいプレーが戻り、無茶打ちのシュートが減りました。生真面目な選手なので、1年目は「打ち屋だから、自分が打たなきゃ」という気持ちが強すぎたのでしょう。
こういう「役割の落とし穴」は他にもあります。パスの上手い選手なのに「途中出場だから、点を取りに行かなきゃ」と強引なシュートばかり選択すると、監督のゲームプランと食い違ってきます。監督はきっと「お前のポストパスで流れを変えたいのに、なんで無茶打ちをするんだ!」と思っているはずです。一般的な役割のイメージと、実際の監督の思惑とは、微妙にズレがあったりするものです。野球で言うなら、監督が「強打の2番打者」を期待しているのに、昔ながらの2番打者のイメージにとらわれてバッティングを崩すのと似ています。
変に役割を意識することなく、自分の強みを素直に出せる選手が、本当に試合で役に立つ選手なのかもしれません。
久保弘毅