・5:1DF
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ハンドボールの流れを変える要素のひとつであるディフェンスシステムについて、さらに見ていきます。
5:1DFは、6:0DFから1人前に出たシステムです。トップの選手が相手のパス回しを邪魔して、攻撃を分断します。詳しいことがわからなくても「パスがリズムよく回っているか」さえわかっておけば、攻撃が上手くいっているかどうかがわかります。ポン、ポンとリズムよくパスがつながっている時は、攻撃が成功する確率も高くなります。パスが渡ってから妙な間ができたり、ドリブルなどでボールを持ち過ぎる時間が増えていたら、攻撃が滞っています。裏を返せば、ディフェンスが成功していると言えます。
話を5:1DFに戻すと、トップには大きくて動ける選手が適任です。長いリーチでパス回しのリズムを崩し、大きな一歩でバックプレーヤーに圧力をかけ、相手の攻撃の方向づけることができれば、後ろの5人とGKも守りやすくなります。トップの選手が「どっちに(相手の攻撃を)誘導しているか」を観察するのも面白いでしょう。
5:1DFで有名なのは大同特殊鋼です。トップで手足の長い千々波英明が動き回り、フルバック(後ろの5人の真ん中)にはベテランの武田享がいて、周りに指示を出します。大同のプレーオフでの強さは、千々波―武田の「縦のライン」があったからと言われています。最近は元韓国代表の朴重奎がフルバックに入りましたが、新たな並びで連携を構築できるか注目です。
5:1DFにも、もちろん弱点はあります。6:0DFよりもライン際のスペースが広くなるので、間を割られるリスクも増えてきます。ライン際のスペースが広くなる分、サイドシュートやポストシュートも多くなります。
久保弘毅